海鳴り
9月は台風シーズンですね。台風接近時には「海鳴り(うみなり)」が聞こえることがあります。海鳴りとは、うねりが海岸で崩れるときに空気を巻き込むために発生する音のことで、海岸から離れた内陸でも、ゴーゴーと遠くで雷が鳴っているように聞こえます。うねりは台風によることが多いので、海鳴りはしばしば台風接近の前兆になります。うねりが海岸線に直角に押し寄せると、海鳴りの音源が線状に並ぶため、音は遠くまで届くようになります。そのため土佐湾や遠州灘(なだ)、鹿島灘など直線上に長い海岸で発生した海鳴りは、遠くまで伝わることが多くなります。波打ち際から防風林などを抜けて内陸に入る途中で、高い音は吸収されてしまうため、最終的には海鳴りは遠くで鳴っている雷のような低い音で聞こえるのです。風上からの音は比較的よく聞こえるのですが、風下からの音は離れていると聞こえにくいという性質が音にはあります。また、よく晴れた夜間は昼間に比べて音が遠くまで伝わりやすいとも言われます。そのため、台風が迫っているときでも、風や天気、時間帯などによって、海鳴りが聞こえるときと聞こえないときがあるのです。台風接近時に海鳴りが聞こえないからといって、安心しないよう注意してください。