食欲がなくなりがちな夏場は、その特有の香りで料理や私たちの気分に変化を与えてくれるハーブが活躍します。
「ハーブ」という言葉は、ラテン語で緑の草を意味する「ヘルバ(HERBA)」から派生したと言われています。植物学上では「ハーブ」というグループの定義はなく、一般的には、人々の暮らしに役立つ香りをもつ植物(香草・薬草)の総称で、茎や葉、花・つぼみなどのやわらかい部分を利用します。
その代表的なものがハーブティーでしょう。ハーブティーは、ハーブの有効成分がお湯に溶け出し、香りが湯気とともに立ち上るため、口と鼻から効率的に摂取できます。リラックス効果があるとされるカモミールのハーブティーはよく眠れないときに、ビタミンCがレモンの20倍も含まれるローズヒップのハーブティーは、夏場の暑さで疲れたときに最適です。
また、ハーブには肉や魚料理の「臭み消し」の用途があります。ともすると生臭さが強く引き出されてしまう肉や魚の煮込み料理には、ローズマリーなどのハーブを一緒に煮込みます。
その他にも、食品に添えて、食欲をそそる風味をつける「薬味」の用途があります。例えば、お刺身に添えられるワサビの香りは味にアクセントを加えるほか、その殺菌作用から生ものには欠かせない存在です。
このようにハーブは、ハーブそのものが主役となる用途から、料理の中の欠かせない脇役として活躍しているのです。
お天気豆知識(2025年07月23日(水))


最近では、バジルやローズマリーなどのハーブが普段の食卓でもお馴染みになりましたが、日本にも食生活の中で、古くから薬味として利用されてきたハーブがたくさんあります。
その特有の香りとほのかな辛みが、蒸し暑いころの食欲減退を防ぎ、鮮烈な香りと辛みの刺激が気分をスッキリとさせる効果があるため、日本のハーブは重宝されてきました。
たとえば、お刺身やおそばの薬味に欠かせない「シソ」や「ワサビ」は代表的な日本のハーブといえます。この他にも、お吸い物や丼物によく使われる「ミツバ」や、お寿司の薬味以外に、お漬物としても使われることがある「ミョウガ」や「ショウガ」なども、独特な香りをもつ香草であることから、ハーブの仲間といえるでしょう。
これらのハーブを使い、豊かな風味を生かすことで塩分の取り過ぎを防ぐこともできます。
これからの本格的な夏にそなえて、食卓に日本のハーブを取り入れて、夏バテを防ぎたいものですね。