夏の暑い日、とりわけ夕暮れ時、店先や路地裏などで、人々が打ち水する光景は、夏の風物詩の一つです。
打ち水された場所は、ひんやりと感じられます。注射をする前の消毒などでアルコールが肌に塗られた時その部分が冷たく感じられます。アルコールが蒸発する時に皮膚の熱を奪うためで、打ち水も原理は同じです。つまり、水が蒸発するときに地面の熱を奪い温度を下げるのです。
打ち水には、太陽の熱で乾ききった地面のほこりを抑える働きもあります。また見た目にも涼しく感じられるなど、視覚的な効果も見逃せません。特に地面がアスファルトで覆われている都市部では、地面が土の場合よりも、水の蒸発が少ないので、余計に暑くなってしまいます。打ち水は、それを補うのに有効です。
また、日当たりの良いマンションのベランダは、高温で乾燥した熱帯砂漠のような状態となり、鉢植えやプランターの植物に悪影響を及ぼします。打ち水をすることで、そのような暑熱環境の改善にもつながります。
エアコンなどがなかった時代、人々は知恵と工夫で暑さをやわらげ、涼を求めてきました。打ち水は技術が発達した現代でも十分通用するものです。今年も打ち水大作戦が行われています。暑い夏を涼しく過ごすためにも、参加して打ち水をしてみてはいかがでしょうか。
お天気豆知識(2025年07月21日(月))


暑い夏、涼しさを感じるには、陽射しを遮り、風を求めるのが一番の策です。「すだれ」は、この2つの役目を果たす、すぐれものです。そのほかにも、部屋のしきりとしても昔から使われていて、古くは万葉集にも詠まれています。「君待つとわが恋ひをればわが屋戸のすだれ動かし秋の風吹く」額田王(ぬかたのおおきみ)
現在は、ほとんどの家庭に冷房が普及し、窓を閉め切った状態で涼しく過ごせるようになりました。昔ながらのすだれの出番は、少なくなってきたようにも見えますが、実は冷房している室内も、すだれを使うことでさらに涼しくなるのです。
部屋の冷房効果を高めるためには、部屋に入り込む陽射しを遮らなくてはなりません。これは、省エネのためにも重要です。陽射しを弱めるためだけならば、なにも、ブラインドやカーテンでも事足りるように思われます。
しかし、ある実験結果によると、窓の内側にブラインドをつけた場合、陽射しを遮る効果は50パーセント程度であるが窓の外側にブラインドをつけた場合は、80パーセント程度にも跳ね上がることがわかりました。この理由は、部屋の内側に設置した場合、陽射しを遮ることはできても、ブラインドや窓が吸収した熱を室外に逃がすことができないからです。
このように、日本の家屋で古くから使われているすだれは、今もなお、十分に実用的な道具なのです。