よく晴れた夏の日は、噴水の水が涼感とともに日差しにきらめく美しい眺めを与えてくれます。
噴水が作り出されたきっかけは、わき水への信仰によるものだと考えられています。古代のギリシア人たちは自然のわき水を模した噴水を神殿の近くにつくって、神々や英雄にささげていました。
また、紀元前3世紀半ばから紀元後5世紀にかけて栄えたローマ帝国では、豊富な水量と水を扱う優れた技術によって、噴水が非常に発達しました。
15世紀から16世紀にかけてのルネサンスの時代には、噴水がそれまで以上に芸術作品として注目されるようになり、宮殿などだけではなく、道や広場にもつくられてその美しさを競うようになったのです。
噴水は、時代によって信仰や芸術性、実用性や装飾性などさまざまな役割を与えられてきたのです。
お天気豆知識(2025年07月22日(火))


現代における噴水の実用的な役割を紹介します。
アスファルトに覆われた都市部にある公園の噴水は、暑さをやわらげるのに特に効果的です。霧状になった水滴は広い範囲で空気を冷やし、地面をぬらした水も熱を奪ってくれます。
都市部は車や電車などの音で何かとうるさいものですが、噴水のそばにいると騒音はあまり気にならなくなります。それは、人には心地よい音と不快な音が聞こえる場合、自然と心地よい音にひかれて騒音などが耳に入らなくなる性質(マスキング)があるためです。
噴水を利用することでアオコなどの藻類の増殖を抑えることもできます。実際、ダムなどでは深いところにある冷たい水を噴き上げることで、水面近くの水温が藻類の繁殖に適した温度にまで上がることを防いでいます。
噴水は目を楽しませてくれるだけではなく、住み良い環境をつくることにも一役買っているのです。