雪の一粒一粒をよく見てみると、それぞれ複雑な形をしていることがあるのをご存じでしょうか。雪の結晶はどのようにして作られていくのか、その成長過程をたどってみましょう。
空気中を漂うたいへん小さなちり粒に、上空のよく冷えた水蒸気が凍りついて球形の氷の粒を作り、やがて六角形の雪の結晶に成長します。その後も周囲の水蒸気を取り込んで成長しますが、このときの気温や湿度などによって様々な形になります。結晶の角から木の枝が6本伸びたような物や六角形の板状の物、針状の物もあります。
これらの雪の結晶ははじめはごく小さなもので、落下していく間に別の雪の結晶とぶつかり、複雑に絡み合ったり、衝撃で壊れたりします。
また、地上に近づいて気温が高くなると溶け始めたり、雲の中の水滴がくっついたりして、雪が水分を含むこともあります。特に、地上の気温が0度よりもやや高いときには、雪の結晶同士がくっつきやすく、比較的大きな雪へと成長します。
なんと直径が10センチメートルという、たいへん大きな雪が降ったという報告もあります。雪はこのように複雑な形に成長しながら、地上へと舞い降りてくるのです。
お天気豆知識(2025年12月19日(金))


舞い降りる雪には、こな雪やぼたん雪といった種類のものがあります。
こな雪とは、気温の低い時に降る細かな雪のことで、乾燥して軽く、ほかの物にくっつきにくい性質があります。そのため、積もった雪はスキーなどでパウダースノーと呼ばれて好まれますが、一方で風に舞いやすく、地吹雪を起こしやすいものでもあります。
ぼたん雪は、気温の比較的高い時に降る大粒の雪で、冬の初めや終わりのころ、比較的温暖な地方などで多く見られます。この雪は、水分を多く含んで湿っているため重く、物にくっつきやすい性質を持っています。
これによって、雪だるまやかまくらを作るときなど、雪を固めることには好都合ですが、いわゆる「着雪害」と呼ばれる被害が引き起こされることもあります。送電線に重くのしかかって断線させたり、標識や信号などを覆ったりするので、雪国ではそれぞれに対策を講じているのです。
ひとくくりに雪といっても、こな雪やぼたん雪とではそれぞれの利点や、注意しておかなければならない災害などが異なっているのです。

