春は低気圧と高気圧が交互にやってくるため、天気の変わりやすい季節です。
春の天気は「春のあらし」や「春一番」の強風のように荒れ模様になることもあれば、一方で「風光る」や「うららか」、「のどか」といった言葉が春の季語になっているように、穏やかな印象もあります。
このように春をあらわす言葉はいろいろとありますが、春の季語のひとつに「春雨(はるさめ)」があります。春雨とは音もなく降り続く春の雨のことで、やわらかな雨がシトシト降る様子は人々に風情を感じさせます。
春雨は降り方が弱く、その時の気温は比較的高いことが多いため、わりとあたたかな雨になります。昔の劇の中で「春雨じゃ濡れていこう」というせりふがありました。
これは、春雨に濡れるのは風情があり、濡れてもたいしたことがない弱い雨だからという理由と、春雨は傘をさしても横から入り込んでくるため、傘が役に立たないというふたつの理由からきたせりふといわれています。
いろいろな新しい出会いや別れのあるこの時期、春雨はなんとなく心にしみるような気がしますね。
お天気豆知識(2026年03月07日(土))


春の雨には、「春雨」のほかにもさまざまな呼び名があります。そのひとつに「木の芽(きのめ)おこし」とよばれるものがあります。
これは、木の芽が出てくる春の初めに降る雨を指す言葉で、別名「木の芽萌やし(きのめもやし)」ともよばれます。春、木の芽が膨らむのを助けるように降るため、このような名が付けられたのでしょう。
ちなみに九州地方では、この時期の長雨を「木の芽流し(きのめながし)」と表現しています。
また、春の雨の表現には「桜ながし」というものもあります。「ながし」という言葉は、何日も降り続く雨を意味し、桜ながしとは桜の花を散らしてしまう長雨を表現しています。
桜は、日本人にとって非常に親しみ深い花であり、ほかにも桜と春の雨を表す言葉としては、「桜雨(さくらあめ)」や「花の雨」があります。
木の芽や草の芽を育て、時には花を散らす春の雨を、昔から日本人は豊かな感性で表現してきたのですね。

