まもなく全国的な梅雨の季節がやってきます。まだ梅雨入りしていない地域でも、うっとうしい曇り空になったり雨がしとしと降り続くといった、梅雨の前触れのような空模様が現れています。
このような、梅雨の前ぶれに降る長雨を表現する言葉に「卯の花(うのはな)くたし」があります。
「卯の花」は、ウツギ(空木)のことで、沖縄を除く日本全土で5月から6月ごろにかけて5枚の花弁を持つ白い花を咲かせます。
「くたし」は物を腐らせることを意味する名詞で、動詞の「くたす」から派生したものです。
つまり「卯の花くたし」とは、卯の花を腐らせるほどにしとしとと降り続く雨、という意味をもつ風情のある言葉で、俳句などの初夏の季語として使われています。
お天気豆知識(2026年05月27日(水))


「卯の花くたし」のほかにも、季節にちなんだ呼び名をもつ長雨があります。特に春から夏にかけては農業にとって大切な雨が降ることから、この時期の雨には植物の名前の付いたものが数多くみられます。
初春のころに降り続く長雨は、ちょうど菜の花が咲く時期と重なるため、「菜種梅雨(なたねづゆ)」といいます。
その後5月前後にもなるといたる所でタケノコが生えてきます。この頃に降るしとしととした雨のことを「たけのこ梅雨」と呼びます。
5月半ばになると、梅雨の時期が近づいていることを知らせる「卯の花くたし」。「卯の花くたし」の季節がすぎると、梅の実の熟す頃、本格的な「梅雨」がやってきます。
これらの言葉はみな、長雨のことを表しますが、昔の人たちは季節を敏感に感じ取り、その時期にみられる植物と組み合せて呼んでいたのです。まさに日本人特有の感性と生活の知恵であるといえるでしょう。

