春は強風が吹きやすく、時には船が転覆してしまうほど海が荒れることがあります。海外から燃料などを運んでくる大型のタンカーにとっても、強い風が厄介者であることに変わりはありません。
船が天気の影響を受けるのは航海している間だけではなく、実は港に到着してからも、風や波に大いに悩まされることがあるのです。
沿岸や海上に突き出た桟橋に大型のタンカーを着けることを着桟(ちゃくさん)といいます。それぞれの桟橋には、その海の特性によって、着桟が許される風速や波の高さなどが決められています。
そのため、天気が荒れているときにはタンカーを桟橋へ着けることができず、たとえ桟橋の目と鼻の先の位置にまで来ていても、運んできた燃料などを陸にあげるには、天候が穏やかになるのを待たなければならないのです。
なぜタンカーの着桟にそれほど慎重になるかというと、タンカーは小回りが利きにくい上、一旦動き出せばすぐには止まれないため操縦が非常に難しいのです。
また、なかには莫大な量の燃料などの危険物を積んでいる場合もあります。もし大量の燃料が流出したり、爆発事故などが発生すれば大惨事になりかねないため、着桟にはけっして失敗は許されないのです。
お天気豆知識(2026年03月29日(日))


航海から戻ったタンカーは、天気の穏やかなときを見計らって桟橋に着けられます。しかし、いったん桟橋に着けてしまえば安心というわけではありません。
非常に強い風が吹いていると、タンカーが風や波によって桟橋にぶつかったり、逆にタンカーが桟橋から遠ざかる方向に動かされて、桟橋につなぎ止めておくためのロープが引きちぎれてしまうことがあります。
タンカーは全長300メートルを超え、船の上での移動に自転車を用いるほどの大きさのものもあります。そういった超大型の船では風に押されただけでもたいへんな力が発生してしまうのです。
そのため、風が特に強くなると予想される場合には、あらかじめタグボートとよばれる船に引かれながら桟橋を離れ、安全な場所にいかりを下ろして風や波が穏やかになるのを待つことになります。
タンカーはほかの船と比べてたいへん大きいため、一見、風や波などには影響を受けないように思えますが、小型の船とは違ったところで風や波に悩まされているのです。

