水田で青々と育つ苗はきれいですよね。農家の人達が、田植えを済ませ、きれいに並んだ苗を見ながら願うのは、今も昔も秋の豊作ではないでしょうか。
そんな田んぼをのぞいてみると、人々の豊作の願いが込められた生き物「豊年エビ」を見つけることができるかもしれません。豊年エビは、ラッコのようにおなかを上にして泳ぐ体長1.5センチから2センチくらいのエビに似た生き物です。
江戸時代から「このエビのような生き物が水田にたくさん現れると豊作になる」といわれ、「豊年エビ」の名でよばれるようになりました。縁起がよいため金魚屋が売り歩いたともいわれています。
ちなみに、体は半透明で無色かきれいな緑色、あしなどは朱色を帯びていることから、英名ではFAILYSHRIMP(妖精のような小エビ)とよばれています。
豊年エビの卵は高温や低温、乾燥にも強く、田んぼに水が張られていない時期は土の中で卵の状態のまま過ごします。そして初夏のころ、水温の高くなった水田で産卵を済ませると、1ヶ月ほどで再びいなくなってしまいます。
お天気豆知識(2026年06月06日(土))


豊年エビが豊作の兆しになるということを、イネの「分げつ」と関連づけて説明しようとする説があります。分げつというのは、苗の根元に近い部分から新しい茎が分かれて出てくることです。
茎が増えすぎると養分やエネルギーが十分には行き渡らなくなって、1株あたりの穂の数が減ったり、穂が出ても小さなもみになって枯れてしまうこともあります。
逆に、ある程度の数がなければ穂の数もそれだけ少ないものになってしまいます。そのため、分げつが多すぎず少なすぎずちょうどよく行われることは、収量を多くするための一つの条件といえるのです。
豊年エビが卵からかえるのに最適な水温は25度くらいで、品種によって違いがあるもののイネの分げつの最適水温もそれに近いものです。そのため、豊年エビがたくさん現れた年は分げつも順調で、収穫量も多くなるというわけです。
この説はまだ実証されてはいませんが、古くから伝わる言い伝えには時に真理が隠れているものです。もし興味を抱いたら、調べてみるのもおもしろいかもしれませんね。

