この時期、町中を歩いていると、公園や道に植えられた木の芽が少しずつ膨らんでいるのを見つけたりして、春が近づいてくるのを感じることができます。ふだん何気なく見かける街路樹にも、実はちゃんとした役目があるのです。
暑い夏、街路樹はたくさんの葉を茂らせ、目いっぱいの日差しを受けようとします。このことは、その下にいる私たちにとって強い日差しを遮り、涼しさをもたらすものとして役立ちます。特にヒートアイランド現象で気温が高くなりがちな都会では、気温を下げる役割のある緑地の働きは重要なものです。
一方、寒い冬、街路樹は葉を落とすことでその下に日だまりをつくります。このことは下を行く人々に暖かな日の光を与えて、寒さを和らげています。
街路樹にはこの他にも、季節感の乏しい都会に季節の移り変わりを知らせて、人々の心を和ませる働きもあります。アスファルトとコンクリートでできた人工的な街にも、街路樹があるとほっと安らいだ気持ちになれるものです。
お天気豆知識(2026年03月12日(木))


街路樹にはさまざまな役割があるため、その樹木を選ぶ際にもいくつかの基準があります。
まず、夏に木陰、冬に日だまりをつくるためには、落葉樹でなければなりません。しかし、落葉樹は落ち葉をまき散らして街の景観を損ねてしまうため、清掃作業が不可欠な樹木でもあります。そのため短期間で落葉し、掃除をする回数が少なくてすむような木が好まれます。
さらに街路樹として大事なことは、丈夫であるということです。夏、街は森林と比べて極端な高温になることがあり、比較的土壌も乾燥しがちです。その上、都会は空気や土壌も汚れています。そのような環境で生き延びなければならない街路樹は、それらに強い品種でなくてはならないのです。
そして現在、イチョウやケヤキ、ハナミズキ、トウカエデなどの樹木が街路樹として広く用いられています。毎日横を通り過ぎていても、名前すら知らないという方も多いことでしょう。
街路樹は、たくさんある樹木の中でも一番身近な存在であり、厳しい環境の中でも私たちのために頑張っている樹木ですから、これからは興味を持って見てみてはいかがでしょうか。

