北日本の山々は、すでに雪が降り積もっています。
雪深い山中は強風が吹けば地吹雪となって、たちまち過酷な世界へと様変わりします。360度雪以外何も見えない世界。そんなときに現れるといわれるのが雪女です。
多くの話では、雪降る夜に現れ、色白で髪が長く、白い着物を着た女性として描かれています。雪女は、日本の妖怪(ようかい)伝説に深い関心を抱いた小泉八雲の「怪談」や、民俗学者である柳田国男の著した「遠野物語」などにも登場する有名な妖怪です。
地方によっては、恩返しをするなど情に厚い雪女の話もありますが、多くは言葉を交わしただけで命を奪うという大変恐ろしい妖怪として語られています。
雪女は、雪国の厳しい冬を象徴したものといえるのではないでしょうか。
お天気豆知識(2025年12月11日(木))


雪にまつわる妖怪伝説は、東北や北陸地方といった豪雪地帯だけでなく、広い地域で語り継がれています。
雪女と呼ばれているのは、主に秋田県や茨城県で、若くて美しい女性とされています。新潟県と福島県の東部には、雪女郎(ゆきじょろう)と呼ばれる妖怪の話があり、福井県東部の越娘(こしむすめ)同様、人を害したり、子供をさらったりするものとして、恐れられています。また、福島県西部の会津地方に伝わる雪女御(ゆきおなご)は、出会った人を雪に埋もれさせるといいます。
雪にまつわる妖怪は若い女だけではなく、石川県北部の白粉婆(おしろいばばあ)や愛媛県の雪婆(ゆきんば)などもいます。白粉婆は大きな笠を被り、お酒の入った徳利を抱えて静かな雪原を歩く老婆の妖怪です。
さらには岐阜県北部の雪入道(ゆきにゅうどう)や南部の雪童子(ゆきわらし)、和歌山県の雪坊(ゆきんぼ)と、様々な姿で雪の妖怪伝説が残されています。
特に、雪入道や雪坊は一本足の妖怪で、一般的な雪女の姿とはかけ離れています。この一本足というのは山の神様によく見られるものなので、これらは雪女などの妖怪と山の神様との性格が混ざり合ったものなのかもしれません。

