近年、主に山や森に住んでいたスズメバチが、山からすこし離れた都市部でも見かけることが増えています。どうしてスズメバチは、私たちの身近な場所にまで進出してきたのでしょうか。
これには山や森が宅地化され、住むところが少なくなり、私たちと生活圏が重なったことがあげられます。また天敵が都市部には少ないことも原因の一つと考えられます。ハチの天敵となる熊はいませんし、日本で最大のハチ、オオスズメバチも都市の環境では順応できません。キイロスズメバチ等は、オオスズメバチが天敵ですので逆に都市部に多く出没するようになっています。
また人間の生活している地域でも、えさが得られるようになったことも理由にあげられます。都市部でも、最近緑が多くなっていますし、空缶に残るジュースなどが、スズメバチのえさになります。
このような背景があってか、家の軒下に巣が作られてしまったという話が以前に比べずっと多くなっています。スズメバチの針には強い毒性があり、非常に危険です。刺されると場合によっては死に至る恐れもあります。
巣を発見したら、不用意にスズメバチの巣に近づかず刺激しないようにしましょう。そして、すぐに保健所などに連絡をして相談してください。
お天気豆知識(2024年10月08日(火))
スズメバチの1年は、春の終わり冬眠から目覚めた女王バチが巣の場所を見つけるところから始まります。
巣の場所を決めた女王バチは、初夏にかけて一匹で巣作りから産卵、幼虫の世話までします。そして夏にはたくさんの働きバチが育ち、巣もどんどんと大きくなります。
このあと秋にかけてスズメバチは数を増やし、ハチたちの活動も活発になります。この時期は、スズメバチの中で巣を守ろうとする本能が強くなり、攻撃性も高くなります。
このため夏から秋にかけてがスズメバチにもっとも注意しなければならない時期です。実際に、スズメバチの被害もこの時期が最も多くなっています。
種類によっては、巣から数メートルから15メートル以内に近づいただけで、攻撃を仕掛けてくることがあります。この時期が最も危険といえるでしょう。
その後、晩秋から冬にかけては、スズメバチの活動は次第に収まってきます。新しい女王バチは冬眠に入り、働きバチは次第に死んでいきます。ですから、冬のスズメバチの巣は空っぽなのです。