青い海で帆を張って走るヨットのイメージはおなじみですが、スポーツとしてのヨットは、あまり知られていないかもしれません。
ヨットの種類は、クルーザータイプとディンギータイプに分けることができ、大きな違いといえばエンジンが付いているか付いていないかです。
クルーザータイプは大きい帆を張りながら帆走するタイプで、強風でも波を砕いて高速で走ることができるのが最大の魅力です。
一方のディンギータイプはエンジンが付いていないタイプで、純粋に風の力だけを借りて進みます。風の強弱に合わせて、人が乗船位置を変えて操船します。ヨット競技はこのディンギータイプで競われます。
ヨットはセイルで風を受けて進みますが、なんと風上にも進むことができます。それを可能にしているのが、海水に隠れた部分にあるセンターボードと呼ばれる板です。
センターボードは船体の横流れを防ぐためにあり、これにより風上に向かっておよそ45度の角度までならば、進むことができるのです。
お天気豆知識(2026年08月08日(土))


エンジンのないヨットが風下だけではなく、風上に向かって進むことができるのは不思議に思えるかもしれません。原理は意外と簡単です。
セイリングの基本である風に対して直角に進む「アビーム」について見てみましょう。まず、セイルが風を受けることによってヨットを動かす力ができます。
この力は、飛行機が飛べる原理と同じ「揚力(ようりょく)」といいます。一方で、船体の横流れを防ぐセンターボードが、風上側に力を作ります。大ざっぱにいえば、この2つの力が釣り合って、風に対して直角の方向に推進力ができ、前に進むことができるわけです。
このように、ある程度まで風上にも進むことができるヨットですが、まっすぐ風に向かうことはできません。風上に対して時計回り、反時計回りに40度前後の範囲はデッドゾーンと言われており、この範囲では前に進むことができません。
ヨットレースではデッドゾーンを避けながら、風の流れを読み、風上にあるゴールへと進むのです。ヨットは、見えない風をいかに上手く捉えることができるかが醍醐味のスポーツといえるでしょう。

