日本の上空に強い寒気が周期的に現れるようになり、寒さの厳しい季節になってきました。
北から寒気が降りてくれば、時には日本海側を中心に大雪をもたらし、日本中を寒さで震え上がらせます。そんなときはよく「冬将軍」がやってきたと表現されます。
「冬将軍」とは、今では単に厳しい寒さのことを呼んでいますが、もともとは、歴史に大きな影響を与えた、ある寒さのことを指していました。
フランスの皇帝となったナポレオンは、1812年、61万もの大軍を率いてロシアに侵攻しました。しかし、モスクワには到着したものの、ロシア側の抵抗や食料の不足に加えて、厳しい寒さや積雪に悩まされ、結局、敗走を余儀なくされたのです。
また、ナポレオン軍はフランスへの帰り道にも、路面凍結や吹雪などによって大いに苦しめられました。このロシア遠征の敗北はナポレオンの致命的な失敗となり、その後の歴史に大きな影響を与えることになりました。
ナポレオンを敗走させた本当の敵は、ロシアの厳しい寒さであったことから、厳しい寒さのことを「冬将軍」と呼ぶようになったのです。
お天気豆知識(2025年12月04日(木))


冬の降雪量と上空の寒気の強さには密接な関係があります。上空の気温が低くなるほど、地上付近の暖かい空気との温度差が大きくなり、大気の状態が不安定となって、たくさんの雪が降るからです。
晩秋から初冬にかけて北日本などに初雪を降らせる寒気は、上空5500メートル付近の気温がマイナス30度以下になっています。地方によって違いがあるものの、この温度は地上で雪が降る目安とされています。冬将軍とまではいきませんが、雪の季節が始まったことを告げる寒気と言えるでしょう。
そして、本格的な冬になると上空5500メートル付近の気温が、マイナス36度以下の強い寒気がやってくることがあります。この温度は大雪を降らせる目安とされていて、まさに、真冬の厳しい寒さをもたらす冬将軍と言えるでしょう。
さらに時として中心付近の気温がマイナス45度以下の寒気が出現することがあり、これは冬将軍の中でもめったに現れることのない大変強いものです。これほどの寒気が来た場合には、記録的な大雪、寒さをもたらします。
この冬は、どれだけ強い冬将軍がやってくるのか気になるところですね。

