菜の花といえば、早春を代表する花の一つです。冬の間は見かけることのなかった黄色が、畑の一面に広がる様子は、暖かな春がいよいよやってきたと感じられる風景ですね。
菜の花の原産地は地中海沿岸や北ヨーロッパなどの地域とされています。かなり昔から日本にやってきて定着したもので、実際、「万葉集」や「竹取物語」といった日本最古の歌集や物語にも登場しているほど古くから日本人と縁の深い植物なのです。
菜の花が古くから愛されてきたのにはもちろん理由があります。それは、菜の花がもともと油を採るために栽培されていたためです。
菜の花から採れる油、菜種油は、古くから明かりを得るための灯油として、また食用油として重宝されていました。特に室町時代以降はその需要は高く、日本の近代化が始まるまで全国に広大な菜の花畑が存在していたのです。そのため花の季節となる春の訪れとして、あたり一面が鮮やかな黄色に染まる風景がひときわ印象的であったのです。
ひところよりは減ったにしろ今も各地で菜の花畑が散在していて、そののどかな田園風景をこれからの時期、目にすることができるのです。
お天気豆知識(2026年02月25日(水))


春の花である菜の花には実はさまざまな用途があり、食用、採油用、観賞用、あるいは肥料としてなど、いろいろな形で活躍しています。そして、その用途ごとに別名を持っているのです。
食用にするときは塩に漬けたり、あえ物にしますが、そうした場合はアオナ、菜花(なばな)という呼び方をします。油を採るときには、アブラナ(油菜)や、ナタネ(菜種)と呼びます。
菜の花の咲く時期である3月中旬から4月にかけての天気のぐずつきを菜種梅雨(なたねづゆ)などと呼ぶことからもうかがえるように、昔はこのナタネという言い方がよく使われていたようです。
そのほか観賞用としては菜の花、花菜(はなな)という場合が多く、特に「菜の花畑」はほのぼのとした春の風景の一つとして、歌の歌詞などにもよく登場しています。
菜の花畑が減ってきた今では、菜の花の黄色はのどかな春の田園風景の象徴でもあり、このため観賞用としての菜の花の価値が上がっているのかもしれませんね。

