夏のとても暑い日に、アスファルトの道路のすぐ上の景色がゆらゆらと揺れて見えることがあります。なぜか、さらに暑さが倍増した気にもなってしまうのですが、この現象は陽炎(かげろう)と呼ばれるものです。
かげろうは、高さによって気温が大きく違うために起こります。
炎天下で道路を触ってみるとわかりますが、その表面はとても高温です。空気は温まった地面の熱によって暖められるため、地面に接しているところの気温が最も高くなるのです。このようにして、高さによって温度に違いがでると空気の密度も違ってきます。
密度の違う空気の境目では光は屈折する性質がありますが、暖められた空気はたえず上昇し、密度にばらつきが生じるため、光は複雑に折れ曲がります。その結果、私たちの目には道路がゆらゆらと揺れているように見えるのです。
お天気豆知識(2025年07月20日(日))


地面近くの空気の温度が、地面に近いほど高くなる性質は、とくに小さなお子さんを持つお母さんなどは知っておかなければなりません。
夏の暑い日中に赤ちゃんをベビーカーに乗せたり、小さな子どもをつれて買い物や用事に出かける場合、子どもは大人よりも厳しい環境におかれているのです。気温が30度くらいの日でも、夏の強い日ざしの照りつけで、アスファルトの表面は簡単に50度以上になります。
大人はだいたい地面から1.5メートルくらいの所で息をしているため、顔の高さの気温は30度くらいですが、背の低い子どもの顔の回りでは38度くらいにも達し、ベビーカーではさらに厳しい環境になるのです。このため、子どもは大人が我慢できる気温でも脱水症状や熱中症になりやすいのです。
このことは、ペットにも言えることです。子どもやペットを連れての日中の散歩や買い物は出来るだけ避ける必要があります。
どうしてもという場合は、アスファルトではなく芝生などの照り返しの少ない所を選んで歩くといった考慮が必要です。