9月は夏の派手な星座から秋の地味な星座へと移り変わる時期です。そんな9月の夜空に、星占いにも登場する「やぎ座」があります。
3等星よりも明るい星がないものの、この星座が南の空に描く逆三角形は、暗い9月の星座の中では比較的見つけやすい星の並びです。
このうち右上の星は、α(アルフニ星と呼ばれるものです。一見、一つの星に見えますが、実際は離れた場所にある二つの星が見かけ上並んで見える「肉眼二重星」です。視力に自信のある方は、二つに見えるかどうか暗い夜空で挑戦してみてはいかがでしょうか。
ところで、やぎ座の星座絵を見ると、おかしなことに気付きます。頭はやぎに間違いないですが、下半身には足がなく、魚の尾びれがついています。
これには次のような理由があります。ある日、ナイル川のほとりで神々がパーティーを開いていると、怪物テュフォンがその会場を襲ってきました。とっさに神々はそれぞれの動物に化けて逃げましたが、そこにいた神のひとり、パーンはやぎに化けて逃げ出しました。
逃げ出した先にはナイル川があり、魚に化け直して川に飛び込んだつもりが、慌てていたために下半身しか変わらず、こんな姿になってしまったのです。
そして、それを見ていた他の神様たちが、面白いから星座にしてしまえ、と言って夜空に上げたというわけです。
お天気豆知識(2025年09月01日(月))


秋の夜空で、北斗七星の代わりに北極星を探す目印になってくれるのは「カシオペヤ座」です。1等星こそありませんが、2等星と3等星からなるアルファベットの「W」の形をしたこの星座を北の空に見ることができます。
このカシオペヤ座の正体は、古代エチオピアの王妃カシオペヤです。王様はというと、隣で星座になっている「ケフェウス」です。ケフェウス座は五角形という分かりやすい形ながら、カシオペヤ座に比べて暗い星が多く、目立ちません。
夫婦仲良く隣り合って星座になっているのですが、ギリシア神話でも王様のケフェウスは星座の地味さ同様、たいした活躍も役割も果たしておらず、王妃のカシオペヤの方が目立っているのです。ただし、その目立ち方はあまり良くありません。
カシオペヤはたいへんな器量自慢で、あるとき自分や娘のことを海の妖精よりも美しいと自慢してしまいました。
そのため海の神様の怒りにあって、娘をいけにえに捧げることになり、自分も罰として椅子に固定されたまま空に上げられ、一日一回逆さまにつるされることになったのです。