日本に夏をもたらすのは太平洋高気圧です。
太平洋高気圧は暖かい空気の集まりで、さらには海洋性の高気圧であるためたっぷりと水分を含んでいます。このため太平洋高気圧に覆われると、日本列島はムシムシとした天気になるのです。
夏の典型的な気圧配置を見てみると、南から太平洋高気圧が日本列島を覆ってきます。その姿はクジラのしっぽに似ていることから、別名「くじらの尾型」とも呼ばれることがあります。このような形が天気図で見られた時は、高気圧に覆われている西日本を中心としたエリアは夏真っ盛りの暑さとなります。
一方、北海道など北日本では太平洋高気圧に覆われることは少なく、比較的過ごしやすい天気になります。西日本で暑く、北は涼しい特徴を表すものとして「北冷西暑(ほくれいせいしょ)」という言葉もあります。しかし、太平洋高気圧の勢力が強まり北日本も覆ってくると全国的に暑い1日となります。
このように日本の夏は太平洋高気圧によって支配されているのです。
お天気豆知識(2025年08月07日(木))


日本の夏は太平洋高気圧に左右されており、その張り出し方によって暑くなる場所に違いがでてきます。
一つ目は「くじらの尾型」とも呼ばれる形で、高気圧が南から張り出している場合です。(南高北低型)この場合は西日本や東日本を中心に暑くなります。
高気圧の風は時計回りに流れる性質があり、高気圧の北側では西よりの風が吹きます。このため、山の東側斜面に位置する地域では西よりの風が山を下りてきて、フェーン現象によって極めて気温が高くなることがあります。東海地方の名古屋市や静岡市、また関東内陸部などが記録的な猛暑になるときはこのパターンの時です。
二つ目は高気圧が東から張り出している場合です。(東高西低型)この場合は北日本でも高気圧のエリアに入るので、日本列島全般に暑くなります。そして高気圧をまわる風は南よりの風が強くなるので、風下側になる日本海側でフェーン現象が起こりやすく、気温が非常に高くなることがあります。
なお、高気圧の勢力があまりに強いと、日本列島がすっぽりと覆われてしまうことがあります。この場合は高気圧の縁をまわる風の影響を受けることもなく全国的に風が弱く、にわか雨の可能性も少なくなります。
このように、太平洋高気圧の張り出し方によって、私たちの生活も左右されているのです。