今年も、甲子園球場で、高校球児達の暑い夏が始まりました。
甲子園球場では、試合結果に大きく影響する、ある風が吹きます。ライト方向からレフト方向に吹く南西風で、甲子園球場にとっては、海から吹いてくる風のため「浜風(はまかぜ)」と呼ばれます。
一般的に、昼は海から陸へ、夜は陸から海へ風が吹くため、甲子園球場の風は第一試合が始まる前ぐらいの時間に、海からの「浜風」に変わります。この時はほぼ無風状態となるため、体感的にかなり暑くなります。
その後、昼過ぎにかけて次第に浜風は強くなり、風速5メートル前後、強い時には瞬間で10メートルを超えることもあります。このくらいの強さになると、ボールの飛び具合や行く先にも影響が出ます。ボールが上空に飛んだとき、ボールは風の影響を大きく受けます。ライト方向の打球は向かい風となるため押し戻され、レフト方向の打球は追い風となるためよく飛びます。
そしてこの浜風はバッターだけの問題ではありません。上空に上がった打球が強い風に流されると、守備も難しくなります。甲子園球場で試合をする選手たちは、この風に早く慣れることが、試合に勝つためには重要となります。
風を味方につけるか敵に回すかで、試合も随分と変わってくるのです。
お天気豆知識(2025年08月05日(火))


夕立をもたらす入道雲は夏におなじみの雲です。
甲子園球場のスタンドにいるときに、周囲の空を眺めると、このモクモクとした入道雲が多く見えます。入道雲が上空にかかってくると雨が降り出しますが、入道雲のわいている場所、その時に吹いている風向きによって、甲子園球場に近づいてくるかどうかが、ある程度わかります。
スコアボードの後ろに見える雲は、大阪と和歌山の府県境の和泉山脈(いずみさんみゃく)でわき上がった入道雲です。この雲は京阪地方では和泉小次郎(いずみこじろう)や和泉太郎(いずみたろう)と呼ばれています。また、一塁側の外に見える入道雲は六甲山地周辺にできる夕立雲で、六甲地方では丹波太郎(たんばたろう)と呼ばれています。
このうち、スコアボード側に見える雲(和泉小次郎)は、南風にのって甲子園球場に近づき、雨をもたらします。甲子園球場の夏の日中は南よりの風が吹きやすいため、スコアボード側に入道雲が見えたら、にわか雨に要注意といえるでしょう。
これとは逆に、一塁側に見える雲は南西風の浜風が吹いている間は、甲子園球場に近づいてくることができません。そのため、浜風の強く吹く第3試合が開催されている時間帯までは、一塁側の雨雲によるにわか雨の心配は少ないといえるでしょう。
にわか雨は急にやってくるものですが、雨雲の見える方角と風向きに注意すれば、野球の試合と違って、ある程度予測することができるのですね。