あすから7月になります。
7月のよく知られた呼び名として「文月(ふみづき)」があります。これは旧暦の7月、今の暦でおおよそ8月を表しています。
語源には色々な説がありますがその中の一つに、むかし七夕に書物を干す行事があって書物(文)をひらく(披く)という意味から、「文披月(ふみひろげづき)」と呼ばれるようになり、それが「文月」になったという説があります。
ほかの呼び名としては、七夕の行事がある月ということで「七夕月(たなばたづき)」というのもあります。
旧暦7月(今の8月頃)は厳しい暑さも次第におさまっていき、秋の気配を、感じはじめるころでもあるので、「涼月(りょうげつ・れいげつ)」や「秋初月(あきはづき・あきそめつき)」といった風情のある呼び名もつけられています。
お天気豆知識(2025年06月30日(月))


夏至から数えて11日目にあたる日は二十四節気よりさらに細かい暦の単位である七十二候の一つ、半夏生(はんげしょう)です。このころは、サトイモ科のカラスビシャクという薬草が生える時期でもあります。
そもそも半夏(はんげ)とは、カラスビシャクの地下茎にできる丸い部分のことで、皮をむいた白いものは漢方に使われ、吐き気を抑える効果があるとされています。
つまり、この半夏が生えるころだから半夏生と呼ばれるようになったのです。
一方、「ハンゲショウ」という名の植物もあります。ドクダミ科の植物で、暦の半夏生のころに葉が白く変わることからこの名が付いたとされています。上のほうについている2、3枚の葉だけが変色することから「片白草(かたしろぐさ)」ともよばれます。
このハンゲショウが毒草であることから、昔は半夏生の日は空気中に毒がたちこめるといわれ、野菜などをとって食べることも禁じられていました。さらに夜明けごろにはその毒の成分が降り注ぐからといって、前日の夜から屋外の井戸にふたをしておく習慣もあったそうです。
カラスビシャクの「半夏」と暦の「半夏生」、そしてその時期に葉を変色させる植物の「ハンゲショウ」の間には複雑な関係があったのですね。