本格的な夏を目の前に、現在田んぼではすくすくと稲が生長しています。すごい速さでみるみるうちに生長していく夏の稲の様子はたくましいものですね。
稲には、発芽してから実りの時期をむかえるまでにいくつかの生長段階があります。田植えを行った後、北日本では5月ごろ、東日本、西日本では6月ごろから「分げつ期(ぶんげつき)」と呼ばれる時期となります。これは、茎の根元から執と新しい茎がどんどん出てくる時期のことです。
田植え直後は根がしっかりと張っておらず頼りなかった苗も、田植え後1か月もすると、葉が茂って水面が隠れるくらいにまで生長します。例えば、5月初めに田植えを行った時に数本だった茎は、6月下旬になると15本から20本にまで枝分かれするのです。
その後、北日本では7月ごろ、東日本、西日本では8月ごろの穂が出るまでの約20日を「穂ばらみ期」といいます。これは、茎の中で穂の赤ちゃんがだんだん大きくなる時期のことで、この時期は夏の太陽をいっぱい浴びて光合成を行い、さらに草の背丈は大きくなります。
夏の稲は、秋の実りの季節に向けて、ますます青々と生長していくのです。
お天気豆知識(2025年06月28日(土))


稲にとって、7月から8月にかけては、茎の中で穂の赤ちゃんがだんだん大きくなる「穂ばらみ期」に当たります。この穂ばらみ期は稲の生長状況に関わる非常に重要な時期です。それは、穂ばらみ期が最も低温に弱いからです。
穂ばらみ期に低温に見舞われると、穂の中の花粉が壊れてしまい、「不稔籾(ふねんもみ)」という実にならないもみができやすくなります。
不稔籾(ふねんもみ)が発生するのは、最低気温が19度以下になった時で、それを下回ると秋の収穫量に大きな影響が出る可能性があるのです。
過去、穂ばらみ期と重なる時期に著しく低温の状態が続いた1993年は、後に「平成の大凶作」と言われる程不稔籾(ふねんもみ)が多く発生し、東北地方を中心に大凶作の年となりました。
このように、穂ばらみ期にあたるこれからの時期は、稲にとって非常に重要な時期なのです。今年の豊作を祈りたいものです。