木炭は、人間が火を使い始めたときから存在し、古来より燃料として使用されてきました。
まきと違い煙が出ないため、現在でも料理用や暖房用として活用されています。それに加えて、木炭には除湿や脱臭の効果があるため、燃料以外にも利用されています。木炭にはなぜそのような効果があるのでしょう。
木炭とは、木材を高温で燃やして炭化させたもので、一見すると黒くて硬い木のかたまりにしか見えません。しかし、その表面を電子顕微鏡などで見てみると、実は穴だらけなのです。この構造は多孔(たこう)質とよばれ、そのため木炭は非常に大きな表面積を持ちます。
木炭約1グラムの大きさはピーナッツ大に過ぎませんが、その表面積は300平方メートルで、この広さは25メートルのプールの面積に匹敵します。数ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)から数百ミクロンという非常に小さい無数の穴が、木炭の内部を通過する様々な物質を吸着します。このため、木炭には除湿や脱臭、さらには浄水効果もあります。
木炭には、目には見えない驚くべき力があるのです。
お天気豆知識(2025年06月15日(日))


木炭は料理や暖房などの燃料として古くから使われてきました。その後、電気やガスなど燃費のよい燃料が木炭にとってかわりましたが、近年では吸着力の高さから、様々な分野で木炭が見直されています。
木炭がもつ吸着性をいかした利用法としては、まず除湿があります。マンションなどの鉄筋コンクリートの住宅では湿気の逃げ場が少なくなっています。湿気が特にたまりやすい、げた箱や押し入れの中に木炭を入れておくと、靴や布団を傷める心配がありません。
また、木炭には脱臭効果もあります。冷蔵庫の中に入れておくと、野菜などのにおいを除去できる上、野菜から発せられるエチレンガスも吸着するので野菜の鮮度がよくなります。
そして、水の浄化にも利用できます。水を浄化させるときには、木炭のなかでも穴がち密な備長炭を使うとよいでしょう。約1リットルの水に対し、約100グラム、長さ10センチほどの備長炭を水につけてみてください。カルキ臭などのにおいを取り除くほか、備長炭(びんちょうたん)に含まれるミネラルが水に溶け込むため、おいしさが増します。
このように木炭は普段の生活の中で除湿・脱臭・浄水など身近な問題を解決する手助けとなるので、活用してみてはいかがでしょうか。