じめじめとした梅雨の時期は、カビが生えやすい季節です。特に日の当たらない北向きの部屋や押し入れの中などは、湿気がこもりやすく、カビが繁殖しやすい状態となり、注意が必要です。
しかし、昔の人は日本の気候に適した住まいを考えだしてきました。その代表が「ふすま」です。
ふすまには、熱を通しにくく湿気を通しやすい、という性質が備わっています。冬はふすまの高い断熱性によって、部屋の保温性が高くなり、暖かく過ごすことができます。
また、梅雨の時期は閉め切った押し入れの中の湿気を外へ逃がすため、カビが出来にくい状態にしてくれます。部屋の湿度が高すぎる場合にも、ふすまの湿度を調節する機能により湿気を部屋の外に出して不快の程度を軽減してくれるのです。
最近は、洋風の家が好まれあまり使われなくなってきていますが、ふすまはこの国で暮らす私たちにとっては大変都合の良いものなのです。
お天気豆知識(2025年06月07日(土))


ふすまは日本の気候風土の理にかなった建具ですが、この機能はどのような仕組みによって生まれるものなのでしょうか。
ふすまは木を格子状に組んだ下地骨(したじぼね)と呼ばれる障子の骨によく似た骨組みを持っています。この骨組みの上に下張り(したばり)と呼ばれる紙が3枚から10枚程度重ねて張られています。さらに、その上に上張り(うわばり)と呼ばれる紙があり、これが一般にふすま紙(ふすまがみ)と呼ばれている紙です。このように、紙が何枚も重ねて張られることで紙と紙の間に熱の伝わりにくい空気の層ができ、優れた断熱性を生むのです。
また、骨組みが格子状であることと、下張りと上張りに使われる和紙には目に見えない細かな隙間がたくさんあることから、ふすまはその両側の湿気を行き来させることができるのです。
さらには、ふすまの材料である木材と和紙は湿度が高いときには湿気を吸い取り、湿度が低いときには湿気を吐き出すという性質も持っており、湿度を調節する機能をさらに高めているのです。