本格的な夏を迎える前のこの時期は蒸し暑く過ごしにくい日が続きます。こんな季節には、爽快な空のスポーツに挑戦してみるというのはいかがでしょうか。
パラグライダーやハンググライダーという名前を聞いたことがある方は多いことでしょう。実はこれらのスポーツは、冬にスキー場として使われている山などで夏に行われています。
パラグライダーはパラシュートのようなものを使って飛ぶスポーツです。斜面を駆け下りて正面から風を受けることによって、パラシュートにあたる部分がひらき、頭上で大きく膨らみます。そのとき坂を勢い良く下っているので、それにつり上げられるかっこうになって足が自然に斜面から離れ、浮かび上がることが出来ます。
ハンググライダーもパラグライダーと同じような方法で飛びますが、大きな翼のような機体を背負うようにして飛ぶため、その格好は鳥のイメージにぴったりです。
空のスポーツはふだん見ることのない自然の表情に出会うことができ、鳥のような自由さを与えてくれるものなのです。
お天気豆知識(2025年06月05日(木))


パラグライダーもハンググライダ-も、上昇気流を受けることができれば長く、そして遠くまで飛ぶことが出来ます。
空のスポーツは上昇気流を見つけ、風を乗り継ぎながら楽しむスポーツですから、風によって楽しみが大きく左右されます。そしてその風は、田んぼに水が入るか入らないかということで変わってしまうものなのです。
春先の「田んぼに水が入る前」では大気と地表面は乾燥しており、日射によって地面が暖まると強い上昇気流が発生し、これを利用することで空を遠くまで移動することができます。
パラグライダーでは、5時間以上も飛び続けて150キロメートル以上の距離を移動するという記録もあります。これほどの距離を飛ぶことが出来るのは、やはり季節で言うと「田んぼに水が入る前」の春なのです。
しかし、この強い上昇気流は初心者にとってはたいへん難しく、なかなか上手に扱うことが出来ません。初夏になって「田んぼに水が入った後」では春のような強い上昇気流は発生しないので、初心者でも安心して飛ぶことが出来ます。
水は「暖まりにくく、冷めにくい」という性質を持っています。それは田んぼの水も同じで、日射をうけると水は土の地表面と比べてゆっくりと暖まるので、その上の空気も徐々に暖まり、上昇気流もやわらげられたものになるのです。これは春のものと比べると初心者でも扱いやすく、ゆったりと空を飛ぶことができるので、これからの季節が空のスポーツをはじめるには適した季節なのです。