もうすぐ西日本や東日本でもじめじめとした梅雨のシーズンがやってきます。
日本ではこの雨の季節を「梅雨」と書いて、その音読みから「バイウ」と呼んだり、「露」、または熟したものがつぶれるという意味の「潰ゆ(ついゆ、つゆ)」から「ツユ」と呼んでいます。
「梅雨」は日本特有のものではなく東アジア共通の気候で、盛夏に先立って起こる現象です。そのため、「梅雨」には各国それぞれの呼び名が付けられています。
中国では日本と同じ「梅雨」という漢字を書き、「メイユー」と呼んでいます。そもそも日本で使われている梅雨(つゆ・ばいう)という言葉は中国から伝わったもので、中国で梅の実が熟するころの雨なのでこのような漢字が当てられています。中国の梅雨は例年、長江流域で、日本の大部分が梅雨入りする時期と同じかそれより遅い6月上旬から中旬に始まります。
また、韓国での梅雨は「長霖」と書いて、「チャンマ」という名称で呼ばれています。韓国では、日本より遅い例年6月下旬から始まります。
ちなみに日本国内でも、沖縄では梅雨を「小満芒種」と書いて、「スーマンボースー」という別の名前で呼ぶことがあります。この呼び名は、二十四節気の小満(しょうまん)から芒種(ぼうしゅ)、つまり5月下旬から6月上旬にかけて、沖縄で本格的な雨の時期になることから来ています。
このように、夏を迎える前にやってくる雨期は、東アジア全体に及ぶ大規模な現象なのです。
お天気豆知識(2025年05月28日(水))


梅雨時の雨は、夏の空気と春の空気との間にできる梅雨前線によってもたらされます。
例年は5月上旬に梅雨前線が沖縄にかかって沖縄地方が梅雨入りとなります。
6月になると、梅雨前線は西日本、東日本を中心にかかり、7月には東北地方にかかる位置まで北上します。しかし、梅雨前線が北海道に達するころにはその活動は弱まり消滅してしまいます。
北海道でも、太平洋側を中心に曇りや雨の日が多くなる「えぞ梅雨」と呼ばれる現象が見られることはありますが、梅雨前線が足早に過ぎ去ってしまうため雨の期間は長くなく、前線の活動も弱まっているため雨期がはっきりとしていません。
そのため、北海道には梅雨と呼べる現象がありません。東アジアの広い範囲で見られる雨期が、北海道にはないのです。