5月も終わりに近づきホタルの季節となってきました。
ホタルは昆虫の仲間で、世界には約2000種、日本には46種ほどが生息しています。そのほとんどが陸で暮らし、発光するものはごく限られます。
その中で、日本のホタルの代表であるゲンジボタルとヘイケボタルは、幼虫期を水中で過ごし、発光するホタルの中でも珍しい習性を持つ種類なのです。ちょうど今の時期は、水のきれいな場所でホタルを見ることができます。
ヘイケボタルとゲンジボタルの違いをみてみると、ヘイケボタルは長さが0.7センチから1センチ程度で、背中の赤い部分に黒くて太い筋があるのが特徴です。
一方、ゲンジボタルはヘイケボタルより大型で、1センチから2センチ程度の大きさです。背中の赤い部分には黒い十字模様があり、これがヘイケボタルとゲンジボタルを見分ける大きな決め手です。
また、姿の見えない夜は、その光り方でも区別できます。ゲンジボタルの光り方はゆっくりした周期で力強く、ヘイケボタルはゲンジボタルに比べて光は弱く、周期は短くなります。
そんなところから、源平合戦の勝った方と負けた方の名前をとって呼び名が付けられたとも言われています。
お天気豆知識(2025年05月25日(日))


最近は都市部を中心にホタルの数は激減しており、自然が残っている所でも昔よりホタルが少なくなっています。
ホタルが減った最初の理由は乱獲(らんかく)でした。見物に来た人が自分一人くらい、という気持ちで、気安く持ち帰ってしまうのです。
そして、水質汚染や農薬の多用、河川の護岸工事などの理由もあります。ホタルの幼虫が育つためには、水の豊かな清流と川岸の柔らかい土が必要で、成虫になってからでも、川岸に茂る植物の茂みで体を休めたり、水ぎわで卵を産んだりします。しかし、コンクリートで護岸が固められたり、農薬の散布により水質が汚染されると、生活する場所やえさがなくなってしまうためホタルが減ってしまったのです。
そのほか、ホタルが光るのは求愛などのコミュニケーションのためですが、街灯や家の明かりなどの人工照明によって、このコミュニケーションがうまくいかなくなったことが減少の理由かもしれないのです。
最近では減少したホタルを保護したり繁殖させたりする運動が各地で活発になってきており、私たちもホタルを観察できる機会が徐々に増えてきました。ホタルを見に行くときは、採集しない、ゴミを捨てない、車で行かない、懐中電灯を照らさないなどの最低限のマナーを守り、幻想的な世界を楽しみたいものですね。