菜の花が道ばたや野原に咲き誇るこの時期、曇り空が何日も続いて雨の降ることがあります。
3月中旬から4月にかけて降る、春の長雨を「菜種梅雨(なたねづゆ)」といいます。
「菜種」とは菜の花の別名で、種から油がとれる菜の花を昔は「菜種」と呼んでいました。
そもそも菜の花から採れる菜種油は、古くから明かりを得るための灯油として、また食用油として重宝されていました。
一面に黄色くなった菜の花畑、それをしとしとと静かに降る雨がしっとりとぬらす光景は風情あるものですね。
お天気豆知識(2025年03月11日(火))


菜種梅雨と呼ばれる3月中旬から4月にかけて降る春の長雨は、桜の花をはじめとしていろいろな花を催(もよお)す、つまり咲かせるという意味で、催花雨(さいかう)とも言われます。
咲き出している菜の花にかけて菜花雨(さいかう)ともいわれ、これから菜種梅雨になったという説もあります。お花見の時期にも重なるため、しばしば敬遠されますが、草木にとっては成長を促す慈雨でもあるのです。
春の長雨は他の季節の長雨と同じように、高気圧が北へかたより、日本の南岸にのびる前線によってもたらされます。本州から九州の太平洋側は厚い雲に覆われて、曇りや雨の降る日が続いて、菜種梅雨の天気になります。
雨雲の北に位置する東北の南部などでも、うっすらとした雲がかかり、おぼろ月夜や花曇りとなることがあります。
また、北の高気圧から冷たい北風が流れこんで、昼間でも寒々として、時には菜花雨ではなく雪となることもありますが、一方で、前線の南側では高気圧から南よりの風が吹いているため、季節は暖かさが増して春めいてくるのです。