3月に入り、春スキーのシーズンとなりました。北日本や東日本の標高の高いゲレンデを中心に、まだまだ多くの所でスキーを楽しむことができます。
しかし、日ざしが強まるこれからの時期、雪山では注意しなくてはならない病気があります。これは「雪目(ゆきめ)」とよばれるもので、強い紫外線によって起こる目の炎症です。
日中、ゲレンデで目を守るゴーグルなどを身につけずに滑ると、春の強い紫外線によって目がダメージを受け、夜になって激しい痛みやゴロゴロ感、涙がでるなどの症状がでることがあります。
これが雪目の症状で、炎症はしばらく続くため、病院にいって処置をしてもらう必要があります。
雪目にならないようにするには、日中、紫外線をカットするゴーグルやサングラスを身につけることが最も簡単な方法です。紫外線はサングラスの横からも侵入してくるので、サイドもカバーしたスポーツタイプのものならばさらに安心です。
曇りの日でも紫外線は意外と強いので、春の雪山では油断をしないようにしましょう。
お天気豆知識(2025年03月07日(金))


雪目は真冬のころよりも春になってからのほうが症状がでやすくなります。その理由は、紫外線が強まるためですが、スキーなどのレジャーの際に起こりやすいのは、標高にも原因があります。
実際、紫外線はどれくらい強くなっているのでしょう。ふもとの1月の紫外線の強さを1とした場合、2000メートルのところでは約1.2となります。
空気には紫外線を吸収する働きがありますが、標高の高い所では空気が薄いため紫外線を吸収する力が弱くなることが標高の高いところの方が紫外線が強くなるひとつの理由です。
また、山の上は空気が澄んでおり、空気中で紫外線を吸収するちりやほこりなどが少ないため紫外線の吸収力が弱まります。そのため、高い山ではふもとにいるより2割増しの紫外線を浴びることになるのです。
さらに3月にもなると、太陽からやってくる紫外線そのものが強くなります。その強さは1月に比べて約2から3倍あり、標高2000メートルの山の3月の紫外線の強さはふもとの1月と比べて少なくとも2.4倍となります。
このように、春はスキーや雪山登山に限らず、積雪のない登山の際にも目や肌を守る紫外線対策が必要なのです。