次第に暖かさを増し、春らしい日も多くなってきましたが、この時期はスギ花粉症の方にとってつらいときでもあります。テレビの天気予報などで伝えられる花粉予測に注目している方も多いことでしょう。
医療機関や研究機関などの中には、このような花粉の飛散量の予測に役立てたり、花粉症の予防や対策を行う上での目安にしてもらうために、実際に花粉がどのくらい飛んでいるのかを調べているところもあります。
花粉を集めるにはいくつかの種類がありますが、その中の「ダーラム没とよばれるものはスライドガラスを屋外に24時間置いて、その上に自然に落下する花粉を採集するというものです。
その際、ガラスの上に落下した花粉が再び飛んでいかないようスライドガラスにはワセリンを塗り、花粉が付着しやすいようにしています。
また、集めた花粉が雨水によって流されたり、スライドガラスの上に雪が積もって観測の妨げとならないように、スライドガラスを設置する専用の台には雨よけがつけられています。
お天気豆知識(2025年03月05日(水))


屋外にスライドガラスを24時間置いて花粉を付着させたら、次にその花粉の数を数えます。
スギの花粉は直径がおよそ30マイクロメートル(1ミリの約30分の1)ほどしかないため、肉眼で確認することはできず、顕微鏡が必要になります。
スライドガラスには花粉以外にホコリなども付着しているため、顕微鏡に固定する前に染色液を使って花粉を見やすくしておきます。
染色液を垂らして、その上からカバーガラスを置いたら、スライドガラスを顕微鏡にセットして花粉を1つずつ数えます。
多い場合は、1平方センチメートルあたり100個を超えることもあるため、カウンターなどを利用するとスムーズな計測が行えます。
最近は花粉自動計測器による観測も行われるようになりましたが、この人手をかけたたいへん単純な観測方法も行われています。テレビなどによって伝えられる花粉の飛散情報はこういった地道な観測の成果といえるでしょう。