テレビや新聞などで見る天気図には、高気圧や低気圧が描かれています。
しかし、天気図には描かれることのない小さな高気圧や低気圧もあり、それがごく狭い範囲の天気に大きな影響を与えることがあります。
北海道の石狩平野を中心とした地域に、大雪をもたらす「石狩湾低気圧」も、その代表的なもののひとつです。
北海道の西岸、主に石狩湾に現れる「石狩湾低気圧」は、大雪をもたらす範囲が20キロから50キロ程度と狭いものの、1日で1メートル以上もの大雪を降らせることがあります。
また、低気圧の通過時には、風速20メートル以上の突風が吹いて交通障害を引き起こすこともあります。
石狩平野には人口190万人以上を抱える札幌市があるため、低気圧の規模は小さくても、その影響はたいへん大きなものになってしまうのです。
お天気豆知識(2025年02月09日(日))


石狩湾低気圧は、石狩平野を中心とした地域に大雪をもたらす小さな低気圧です。
人々の生活に大きな影響を与えるこの低気圧は、どういう気圧配置のときに現れやすいものなのでしょうか。
そのパターンのひとつは、西高東低の冬型の気圧配置が緩んだときです。
具体的には低気圧が日本から遠ざかり、縦じまの等圧線の間隔が広がったときに、発生しやすくなります。このとき、北海道の内陸部は比較的穏やかな天気になりますが、石狩平野などの北海道の西岸では大雪になることがあるのです。
そしてもうひとつは、低気圧が発達しながら千島近海に抜けたときです。
このパターンで現れる石狩湾低気圧は、たいてい石狩湾よりも北の海上で発生し、南東方向に道内を通過していきます。その際、進路の南側の地域ではしばしば雪を伴う激しい風に見舞われることがあります。
天気図には現れない小さな低気圧が、局地的には大きな影響力を持つこともあるのです。