9月に入り、朝晩の涼しさや虫の声から秋の訪れを感じるようになりました。雲も夏に見られた入道雲から、いわし雲、うろこ雲といった秋らしい雲に少しずつ変わってきていることに気付きます。
このように、私たちはいつも地上から空に浮かぶ雲を見上げていますが、高い山や飛行機からは普段とは違った雲の表情を楽しむことができます。
眼下に果てしなく広がる雲はまるで海原のように見え、雲から顔を出した山の頂は海に浮かぶ島のようにも見えます。この素晴らしい雲の景色は雲海とよばれます。
雲海をつくる雲は、主に地面付近から2000メートル程度の高さに現れる「うねぐも」や「くもりぐも」とよばれている層積雲です。2000メートル以上の山に登れば、雲海にであえる可能性は高くなります。
高い山の上でなくても雲海を見ることができる場所があります。それは盆地を見下ろすような山です。盆地は比較的低い雲や霧が発生しやすいため、盆地を囲む山々からは雲海を目にする機会が多いのです。
お天気豆知識(2025年09月04日(木))


雲海は、高い山に登れば一年を通して見ることができますが、特に春や秋、梅雨のころは、他の季節と比べて雲海が現れやすい季節といえるでしょう。
雲海が現れやすい条件の一つは、雨上がりの翌朝です。雨が降ったあとは空気中に水蒸気がたくさん含まれています。そのため、気温の下がる翌朝には低い雲や霧が発生しやすいのです。
また、内陸では、雨上がりでなくても、移動性高気圧に覆われた日の朝は雲海が現れやすくなります。
これは、春や秋に移動性の高気圧に覆われると、雲がなく風も弱いため、夜間に放射冷却現象が顕著になり、地面付近の空気がよく冷えて霧が発生しやすくなるからです。
ただ、日が昇って気温が上がると霧は消えてしまうので、雲海を楽しむなら朝の早い時間帯がよいでしょう。