冬になると北日本の太平洋側などのように厳しい寒さが続く地域では、大地が凍ることがあります。
凍った土は凍土といい、スコップの先も跳ね返すほど固くなります。また、地面の凍結に伴い地面付近が盛り上がってくる現象を「凍上(とうじょう)」といいます。
凍上が起こると、道路、線路などの地上施設だけではなく、水道管、ガス管、通信ケーブルのような地下の埋設物に被害が生じることがあります。
凍上が起きた地面を掘り起こしてみると、地面と並行に氷の層が形成されていることがわかります。この氷の層はレンズ状の形をしていることからアイスレンズと呼ばれていて、地面を持ち上げる原因になっています。ときには家などの建物を持ち上げることさえあるのです。
凍上によって大地が押し上げられる力は1平方センチあたり1キログラムから2キログラムになります。1平方メートルに換算すると、なんと10トンから20トンもの力になります。北の大地は雪だけではなく、大地の凍上にも悩まされることがあるのです。
お天気豆知識(2024年12月28日(土))
凍上の起きやすいところは、一日中気温が氷点下で経過するような寒さの厳しい所です。その中でも、地下水の流入などがあり、土の中の水分が多いところや土の粒子が細かい所で発生しやすくなります。
一見雪の積もった大地ほど凍上が起きやすく思えますが、実は逆です。降り積もった雪は空気をいっぱい含んでいるため、地面はちょうどふかふかの雪の布団をかぶっているのと同じ状態です。
そのため、凍上現象は北日本の中でも雪の少ない太平洋側の地域で多く発生しやすいのです。ただし、雪の多いところでも除雪した場所では気温が下がると非常に冷たい空気が直接大地を冷やすので、地中深くまで凍結が進みます。
また、常に除雪がされている線路や道路では、とくに凍上が起こりやすくなっていると言えるでしょう。
なお、東京などではせいぜい地表面に霜柱ができる程度で、凍上が起こることはほとんどありません。