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お天気豆知識(2024年11月25日(月))

時雨のしくみ
時雨のしくみ

晩秋から初冬にかけて一日の内に降ったりやんだりする雨のことを「時雨」といいます。
ちょうど今頃の時期に、日本海側の地域でしぐれることがあり、昔は陰暦10月のことを「時雨月」ともいいました。
11月に入ると西高東低の冬型の気圧配置になる日が多くなり、大陸から日本列島へ向けて冷たい季節風が吹くようになります。冷たい季節風はもともと乾いた大陸から吹く風なので比較的乾燥していますが、日本海の上を渡ってくるときに、湿った風に変わります。
日本海が海面付近の空気に比べて暖かいため、水蒸気がたくさん供給されるからで、そのとき上昇気流も発生します。冬の日本海の上昇気流は、一定の間隔をもって発生するため、この上昇気流によってできる雲も一定の間隔で行列をつくります。
これらの雲が地上を通過するときに雨を降らし、通り過ぎると雨は止み、時には日が差し込むこともあります。雨が降ったり止んだりする時雨のしくみは、日本海の雲の行列のためなのです。

北山時雨
北山時雨

時雨は日本海側の地域でよく見られる現象で、日本人には昔からなじみ深いものです。
京都では「北山時雨(きたやましぐれ)」といい、詩にもよまれるほど有名で、冬支度の合図とされてきました。
この北山時雨をもたらす雲は、日本海から丹波高地を通り、丹波高地の山あいを抜け、京都盆地の北部まで流れてやってくるのです。
また、しぐれた日にはすてきな「おまけ」がつくことがあります。それは「虹(にじ)」です。時雨が降った後日ざしが出ると、空気中に残った雨粒に太陽光線が当たって、虹ができやすいのです。
哀愁の漂う晩秋から初冬、時雨が降っている間、きれいな虹が見られるのを楽しみにしてはいかがでしょうか。

過去のお天気豆知識

メイストーム2025年04月26日(土)
江戸後期の地図作り2025年04月25日(金)
ファタ・モルガナ2025年04月24日(木)
潮干狩りと季節2025年04月23日(水)
果物の花2025年04月22日(火)
ツツジの種類2025年04月21日(月)

各地の天気

お天気豆知識

メイストーム

メイストーム

5月は高気圧に覆われて晴れる日が多く、1年で最も過ごしやすい時期です。季節は風光る春から風薫る初夏へと移り変わり、すがすがしい陽気に包まれて、植物には日々緑の濃さが加わる頃でもあります。しかし一方で、5月は黄海やその近辺で発生した低気圧が日本海を急速に発達しながら進み、嵐のように猛威をふるうことがあります。このように発達した低気圧は、それまで安定していた天候を急変させて思わぬ災害をもたらすこともあり、メイストームと呼ばれています。1954(昭和29)年5月8日に黄海で発生した低気圧は、翌日9日の朝に日本海西部で急激に発達したのち千島列島方面へ進みました。通常の2倍の時速70キロから80キロの速さで通過したため、その速さのために逃げ場を失った船舶の多くが沈没、流失し、死者、行方不明者361人を出す大惨事となったのです。のちにこのときの低気圧の研究が詳しく解析され、5月の嵐のことを表す言葉として「メイストーム」が生まれたのです。

江戸後期の地図作り

江戸後期の地図作り

大型連休をひかえ、旅行の計画を立てている方も多いのではないでしょうか。旅行に出かける際の持ち物の中で、欠かせないのはやはりその土地の地図ですね。初めて日本の正確な地図を作った人をご存じでしょうか。その人は江戸時代後期に活躍した伊能忠敬(いのうただたか)です。彼の測量の方法は、当時は歩幅をつかって距離を測る歩測でした。また、夜は天体観測を行って緯度を測定しました。北極星の高度がその場所の緯度と同じことを利用して現在地の緯度を調べていたのです。ただ一方で、緯度と同様に地図作りには欠かせない経度の測定はやっかいだったようです。経度の測定は、江戸、大阪と観測地の3地点で同時に日食や月食の始まりと終わりの時間をはかり、その差から求めようとするものでした。観測期間中に日食は4回、月食は9回ありましたが、どこかが悪天候になると測定はできません。なかなかうまくいかず、経度の測定は実質的には失敗だったようです。そのため経度は天体観測ではなく別の方法で計算から求められました。伊能忠敬は日本全国を歩き回り測量を重ねましたが、旅に出て18年後に病死してしまいます。その後は、弟子たちが引き継いで1821年に、のちに伊能図と呼ばれる「大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)」を完成させ、幕府に提出したのです。

ファタ・モルガナ

ファタ・モルガナ

春になると、北陸の富山湾では蜃気楼(しんきろう)が現れやすくなります。これは、立山などの飛騨山脈から流れ出た冷たい雪解けの水が富山湾に流れ込んで、海面に近い方の空気が冷たくなる逆転層ができるからです。蜃気楼には大きく分けると2種類のタイプがあり、実物よりも低い所に見えるものと、実物より高い所に伸び上がったり浮かんだりして見えるものがあります。富山湾で春に見られる蜃気楼は後者のタイプの上に伸びる蜃気楼で、同じように上にのびる蜃気楼に「ファタ・モルガナ」と呼ばれるものがあります。「ファタ・モルガナ」は、ヨーロッパでは蜃気楼の別名として呼ばれることもあるようですが、もとはイタリア半島とシチリア島との間のメッシナ海峡に現れる蜃気楼のことです。メッシナ海峡のファタ・モルガナは対岸の壁や塔、家のようなものがそそり立ち、それが空中に浮かんで見えます。そんなファタ・モルガナは、アーサー王物語に出てくる伝説上の妖精モルガナにちなんで名付けられました。「ファタ」とは妖精のことで、モルガナは蜃気楼を使って神秘的な能力を示したと言われています。のちに、イタリアの詩人たちはモルガナのことを、「波の下の水晶宮に住み、このような蜃気楼を起こす妖精」と詠いました。それがきっかけで、ファタ・モルガナは蜃気楼の代名詞になったといわれています。