季節の移り変わりとともに、空に浮かぶ雲も入れ替わっていきます。
俳人、正岡子規は、雑誌「ホトトギス」の中でこの様子を、「春雲は綿の如く、夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く、冬雲は鉛の如く・・・」と表現しています。
春は太陽の光で大地が熱せられ、空気も暖められて上昇し、綿雲ができます。夏は、春以上に空気が暖まって綿雲がさらに発達し、入道雲や雷雲に代表されるような、もくもくとした巨大な雲が特徴的です。
秋になると、うろこ雲やいわし雲、まだら雲などと呼ばれる雲がしばしば見られ、その姿は小石を敷き詰めたようだったり、風に吹かれた砂丘の表面にできる風紋のようにも見えます。
そして冬、特に日本海側で時雨や雪を降らせるような低い雲に覆われたとき、空はまさに鉛のような色になります。
正岡子規の自然を捉える目には優れたものがあったのですね。
お天気豆知識(2026年10月15日(木))


正岡子規は、秋の雲を「砂の如し」と表現しましたが、それは、うろこ雲などと呼ばれる、巻積雲(けんせきうん)のことでしょう。
巻積雲は氷の結晶からできている雲で、層が薄いため影もありません。雲が波打って見えたり、魚の群れや小石を並べたようにも見え、特に夕焼け空に横から照らされた姿は美しく、人目を引きます。
通常5000メートル以上の高い空に現れて、ときには雲に青や緑、赤などの色の縞が見える「彩雲(さいうん)」と呼ばれる現象が見られることもあります。
巻積雲は単独で現れることは少なく、はけで描いたような筋雲や薄くて白いベール状の薄雲、さらに羊雲などとも一緒に現れます。
空はさまざまな姿の雲が織りなす芸術的な眺めになります。秋の空は、いつまで見ていても見飽きることはないでしょう。

