夏は気温の高い日が多く、暑さにうんざりしてしまっている方も多いことでしょう。
西日本、東日本では熱帯夜とよばれるほどの暑い夜がこれからしばらく続きますが、エアコンが普及した現代では熱帯夜でも寝苦しく感じることは少ないかもしれません。
では、エアコンの無かった時代はどのように暑い夜を過ごしてきたのでしょうか。昔は蚊帳(かや)が夏の夜の必需品でした。
蚊帳とは、麻などで編まれた寝具の覆いで、テントのように張って使います。
虫除けと湿気よけの効果があるため、この中に入って寝れば、部屋の戸を開けておいても虫に刺されたり蚊の羽音に悩まされることはありません。外から入るやさしい風を感じながら、比較的涼しく眠ることができるのです。
お天気豆知識(2025年07月14日(月))


蚊帳(かや)の中はどのような仕組みで快適な空間になっているのでしょうか。
蚊帳は細かい網状なので、蚊などの虫が入ってくるのを防ぎながら風を通してくれます。そのため熱がこもりにくく、風にあたって体を冷やすことができるのです。
また、蚊帳の素材である麻は高い吸湿性を持っているため、内部の湿気を吸い取って蒸し暑さを軽減してくれます。さらに、麻には吸湿性だけでなく発散性もあるため、含んだ水分を発散するときに熱を放出して気温を下げてくれます。蚊帳の中は外より気温が1度低くなる、といわれるほどです。
このように、数々の効果をもった蚊帳ですが、現代ではほとんど見かけることがなくなりました。冷房にクーラーを使い、部屋の中の虫退治には殺虫剤や蚊取り線香を利用するのがあたりまえになったからでしょう。
しかし、これらの使いすぎは体によくありません。たまには、昔ながらの蚊帳の中で自然の風を感じて眠りにつきたいものですね。