これからますます寒さが増して本格的な冬になっていきますが、この冬が暖冬になるか寒冬になるかは、上空を流れるジェット気流と呼ばれる強い西風に左右されます。
ジェット気流の流れる位置は日々変化しています。冬の期間は日本の北側にあることが多く、この気流が西から東へと緯度に平行に強く吹くようなときは、北極からの寒気が南下してくるのを押さえるかたちとなるので暖冬になる傾向があります。
このようなときは、移動性高気圧や低気圧が日本付近を通りやすくなるので、日本には暖かい南風が吹くことも多くなります。
一方、ジェット気流が南北に波打って流れ、日本の南側を通ることが多くなると、寒気も南に下がるので寒冬になる傾向があります。
このときの天気図を見ると、西の高気圧、東の低気圧がともに発達し、いわゆる西高東低の冬型の気圧配置が頻繁に現れるようになります。
このように上空のジェット気流の流れの位置の違いにより、日本列島は暖冬になったり寒冬になったりするのです。
お天気豆知識(2024年11月17日(日))
極端な暖冬や寒冬は、社会や経済にも大きな影響を与えます。たとえば、暖冬になると冬物衣料の売れ行きが不振になる傾向があります。
また、野菜の生産量も増えるため、白菜や大根、キャベツなどは例年より安値で取引きされます。さらに、スキー場では雪不足に悩まされ、営業できる期間も短くなり売り上げに大きな影響が出ます。
一方、寒冬になると、大雪や低温による被害が増加します。
とくに例年あまり雪の降ることのない地域で大雪になると、スリップ事故などの交通事故が多発します。雪になれている所でも大雪の年は除雪費用が増加し、自治体の予算が底をつくこともあります。
また、寒さをしのぐために暖房が使われるので、暖房器具の売り上げは伸びますが、電力やガス、灯油などの家庭の光熱費の出費も増えます。このように暖冬や寒冬は大きな影響を与えているのです。