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お天気豆知識(2025年04月24日(木))

ファタ・モルガナ
ファタ・モルガナ

春になると、北陸の富山湾では蜃気楼(しんきろう)が現れやすくなります。これは、立山などの飛騨山脈から流れ出た冷たい雪解けの水が富山湾に流れ込んで、海面に近い方の空気が冷たくなる逆転層ができるからです。
蜃気楼には大きく分けると2種類のタイプがあり、実物よりも低い所に見えるものと、実物より高い所に伸び上がったり浮かんだりして見えるものがあります。
富山湾で春に見られる蜃気楼は後者のタイプの上に伸びる蜃気楼で、同じように上にのびる蜃気楼に「ファタ・モルガナ」と呼ばれるものがあります。「ファタ・モルガナ」は、ヨーロッパでは蜃気楼の別名として呼ばれることもあるようですが、もとはイタリア半島とシチリア島との間のメッシナ海峡に現れる蜃気楼のことです。
メッシナ海峡のファタ・モルガナは対岸の壁や塔、家のようなものがそそり立ち、それが空中に浮かんで見えます。そんなファタ・モルガナは、アーサー王物語に出てくる伝説上の妖精モルガナにちなんで名付けられました。
「ファタ」とは妖精のことで、モルガナは蜃気楼を使って神秘的な能力を示したと言われています。のちに、イタリアの詩人たちはモルガナのことを、「波の下の水晶宮に住み、このような蜃気楼を起こす妖精」と詠いました。それがきっかけで、ファタ・モルガナは蜃気楼の代名詞になったといわれています。

蜃気楼(しんきろう)のメカニズム
蜃気楼(しんきろう)のメカニズム

ファタ・モルガナや富山湾の春の蜃気楼は、どのような仕組みで見えるのでしょうか。
蜃気楼が現れるためには、まず、冷たい海水がなくてはなりません。そして、冷たい海水にふれた空気は冷やされるため、海の上の空気は下が冷たく上が暖かい状態となります。
温度のちがう空気は密度もちがい、冷たい空気ほど密度は大きくなります。このような状態で光が進むとどうなるのでしょう。
普通、光はまっすぐに進みますが、密度の異なる空気の層を通過するときは、密度の大きい方へ引っ張られながら進む性質があります。その結果、光は密度の大きい下の層にひっぱられ上に凸のカーブを描くようにして私たちの目に到達します。
光が曲げられることにより私たちの目には上から光がやってくるため、あたかも景色が浮かび上がっているようにみえるのです。

過去のお天気豆知識

地吹雪(じふぶき)2025年12月25日(木)
ダイヤモンドダスト・12025年12月24日(水)
晴れの定義2025年12月23日(火)
フカフカの新雪で滑ろう2025年12月22日(月)
冬至2025年12月21日(日)
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各地の天気

お天気豆知識

地吹雪(じふぶき)

地吹雪(じふぶき)

毎年冬になると、大雪や強風によって高速道路が閉鎖になるなど、交通機関へ影響が出ることがあります。北日本の場合、この原因の一つに地吹雪(じふぶき)があります。地吹雪とは、いったん降り積もった雪が強い風のために地上に吹き上げられる現象のことです。地吹雪が起こると目の前が白一色の世界となり、視界が悪くなり、時にはすぐ目の前にある自動車さえ見えなくなるため大きな交通障害を引き起こします。この時期、日本の上空に強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配置が強まると、全国的に季節風も強まります。季節風は、関東地方など太平洋側では山越えの乾燥した空っ風となって吹き下ろしますが、積雪の多い地域では地吹雪を引き起こす原因となるのです。地吹雪は、強い風が吹き、さらさらの軽い粉雪が降って間もないときが一番起こりやすくなります。また発生しやすい場所は田畑など平らで広い雪面のある所です。逆に気温が比較的高く、湿った雪が降る場合は、雪粒同士がくっつきやすく重いので、地吹雪は発生しにくいのです。

ダイヤモンドダスト・1

ダイヤモンドダスト・1

強い寒気がやってくると、北海道などでは氷点下10度や氷点下20度にまで気温が下がることがあります。このような厳寒の地では、他では滅多に出会うことのない自然現象、「ダイヤモンドダスト」を見ることができます。気温が氷点下になると空気中の水蒸気が凍り、氷の結晶が空気中に浮かぶことがあります。これは氷霧(こおりぎり)と呼ばれ、あたりは霧がかかったようになります。さらに気温がマイナス25度近くに下がると、遠く1キロも先が見通せるような澄んだ状態でその結晶がキラキラと光って見えるのです。一見雪のようにも見えますが、雪ではありません。浮遊しているダイヤモンドダストを顕微鏡で見てみると、雪の結晶に成長する前の氷の結晶の形をしているのがわかります。ダイヤモンドダストは太陽の光を反射しキラキラと輝き、その名の通り、空からダイヤモンドが舞い降りるように見えるのです。

晴れの定義

晴れの定義

皆さんは「晴れ」といえば、どんな空を想像するでしょうか。きっと多くの方は感覚的に雲が少ないと感じるときに使っていることでしょう。しかし気象の世界では、「晴れ」にもきっちりとした定義づけがなされているのです。たとえば、「晴れ」と「快晴」は同じものでしょうか。定義によればこれらは別のものになります。「快晴」は「晴れ」よりも雲の少ない状態、つまり空に雲が全くないときは「晴れ」ではなく「快晴」に分類されます。また青空が少しでも確認できれば晴れかというと、そうでもありません。空のほとんどが雲に覆われて一筋の光が漏れているくらいでは、「晴れ」ではなく「曇り」に分類されます。さらに、空の半分が雲に覆われている状態は「晴れ」と言ってよいのでしょうか。これは定義に従えば、「晴れ」で正解です。普段、何気なく使っている「晴れ」という言葉を正しく理解し、天気予報を上手に利用しましょう。