平野部でも冬の訪れを感じる頃になってきました。標高の高い山の上ではそろそろ本格的な冬を迎えます。
白銀の世界が辺り一面に広がる冬山は、一度経験するととりこになってしまう人も多いといわれます。私たちが冬山に挑戦する時には、寒さは単に気温だけが関係しているのではないことを知っておかなければなりません。
人が感じる寒さは気温のほかにも風速や湿度、日差しの有無などいろいろな条件で決まります。中でも風の影響を強く受けています。
実際に体に感じる温度は体感温度と呼ばれ、風速が1メートル増すと体感温度は1度以上低くなる、と言われています。例えば、山での気温が10度のときに、風が10メートル吹くと0度、20メートルではマイナス10度にまで体感温度が下がります。
山の上では遮る物がなく、麓よりも風が強く吹くので、登り始める頃には想像できなかったような寒さに見舞われることがあるのです。このため冬山登山には十分な知識を持ち、万全の防寒対策を行なって出かけたいものです。
お天気豆知識(2025年11月28日(金))


冬山登山では、凍傷には特に注意したいものです。
体感温度が0度以下になると凍傷にかかりやすくなると言われています。凍傷のきわめて軽いものはしもやけで、かゆみや熱さを感じますが、症状が進むと水疱ができたり、凍傷になった部分は死んでしまいます。
山で凍傷を防ぐには、体を保温するための十分な装備が必要です。靴下や手袋などが濡れてしまった場合は、そのまま身に着けているとどんどん体から熱を奪ってしまうため、こまめに取り替えましょう。
それでも万が一凍傷にかかってしまった場合は、手や足などの患部を体温と同じくらいの温度のお湯に1から2時間くらいつけて温めます。それと同時に、体を毛布などで包んだり、温かい飲み物を飲んで全身を温めることも大切です。
ただし、いくら早く温めた方がよいからといって、急に熱いお湯につけたり、お酒を飲ませたりすると心臓に負担をかけてしまうため、絶対にしてはいけません。
そして、応急手当てが終わり体温が戻ったら、患部をガーゼや布などで包み、ただちに下山して、病院で適切な処置を受けるようにしましょう。なお、足の凍傷など自力で下山が難しい時には、無理をせず周囲に助けを求めるのがよいでしょう。

