春は、空気中の塵や黄砂などの影響で空に霞がかかりやすく、また明るい星が少ないことから、天体観測には不向きな季節かもしれません。
しかしそんなときでも、月ならば比較的簡単に見つけることができるでしょう。
月の中でも、日没後の西の空に浮かぶ細く鋭い形をしたものは、「三日月」とよばれます。この三日月、いつでも同じように見えると思われがちですが、実は季節によって傾き方が違うのです。
春は下側が細く光って寝そべった形に見えます。西側に海がある地域では、沈む瞬間に月が水面に浮かぶ船のように見えることでしょう。
それに対して秋の三日月は、向かって右側が光って立った形に見えます。
西洋では、三日月を器に例え、「春はくぼみに水がたまるため霞がかかり、おぼろ月夜となるが、秋は水がたまらないので、空が澄む」などと、天気と三日月の傾きを関連づけたことわざが古くから伝わっています。
お天気豆知識(2026年04月08日(水))


春と秋では三日月の傾きが違います。この謎を解く鍵は「月の通り道」の季節変化にあります。
太陽は春も秋もほぼ真西に沈みますが、月は季節によって異なる軌道を描きます。そのため、西の空にある太陽から月が照らされる角度も違ってくるのです。
春の三日月は地平線に対して垂直に近い角度で西の空へ沈んでいくため、先に沈む太陽から見るとほぼ真上に月が位置する格好となります。この位置関係から、月は下側を太陽に照らされて三日月は寝て見えるのです。
一方、秋の三日月は西の空をより水平に近い角度で移動しながら沈んでいきます。そのため月は先に西の空へ沈む太陽の光を横から浴び、三日月は立った形になるのです。
また、春の三日月が太陽よりも高い空を通って沈むのに対し、秋の三日月がやや低い空を通って沈むことも、この違いを大きくしています。
ただ、この傾きの違いは、実際のところ注意して観察しなければなかなか気づかないほど微妙なものです。今の時期に見える三日月を写真に収めたり、記録したりしておいて、秋の三日月と比べてみるとよいでしょう。

