春になると、田んぼを一面ピンクに染めるレンゲ畑を見かけることがあります。
最近は近所の田んぼが宅地に変わり、都会ではめっきり見る機会が減りました。郊外へ出かけると、田んぼに咲いているレンゲソウを見ることができます。
レンゲソウは、田んぼ、野原、土手、畦(あぜ)などに自生し、4月から6月に開花する中国原産の植物です。花は赤紫色が主ですが、稀に白色もあります。茎は、根元で枝分かれして地面を這って広がり、草丈は、10センチから40センチにも達します。葉は、卵形の薄い小さな葉が10枚前後あります。開花後、黒色のエンドウ豆のようなさやを付け、中には数個の種子ができます。実が熟すと、さやから種をこぼします。
レンゲソウという名は、茎の先に小さなチョウのような形をした花が10個ほど輪状に咲くさまが、亙ハス)の花に似ていることに由来します。マメ科のゲンゲ属に属し、ゲンゲとも呼ばれます。また、紫雲英(しうんえい)とも呼ばれるのは、赤紫色のレンゲソウの花が一面に咲き乱れている風景を、紫雲が低くたなびいている様子に見立てたものです。紫雲とは、めでたい雲の意味で、英とは、花を意味します。
お天気豆知識(2026年04月06日(月))


なぜレンゲソウは、春の田んぼで多く見られるのでしょうか。それはレンゲソウがマメ科の植物であることに理由があるようです。
作物栽培で肥料としてかかせないのが窒素(ちっそ)です。窒素は地球の大気中の約80パーセントを占めており、空気中にはたくさんあります。
この空気中の窒素を地中にもたらしてくれるのがマメ科の作物で、正確には豆科作物と共生する根粒(こんりゅう)バクテリアの働きによります。
レンゲソウを根ごと引き抜いてみると、根にジャガイモのイモのような小さな粒がついています。これが根粒といわれるもので、中にバクテリアが住んでいます。
根粒バクテリアは空気中の窒素を取り入れてレンゲソウに提供します。このため、稲刈りが終わった後の田んぼに、農家の方がレンゲソウの種を蒔いて育てるのです。春になって咲いたレンゲソウを田植え前に土と一緒に混ぜておくと天然の窒素肥料として稲の成長のために利用できます。
収穫しないで土に混ぜ、肥料にする植物は緑肥(りょくひ)と呼ばれ、化学肥料が使われる前にはよく利用されていました。手間はかかりますが、緑肥を漉き込むことで、健やかでおいしいお米作りを支えることができるのです。

