1年で最も寒さが厳しいこの時期、凍りついた湖にジグザグと氷の盛り上がった道ができることがあります。これは御神渡り(おみわたり)と呼ばれる現象で、この現象が見られる所としては長野県の諏訪湖が有名です。
諏訪湖の御神渡りの記録は、1443年から実に5世紀以上も残っています。なぜ、これほどにも昔から一つの自然現象の記録が残されていたのでしょうか。それは、御神渡りは神様が渡った跡とされ、古くから占いに使われてきたためなのです。
諏訪湖畔には諏訪大社(すわたいしゃ)があり、湖の南側の「上社(かみしゃ)」と北側の「下社(しもしゃ)」の二つでできています。
諏訪地方に伝えられている神話によると、「上社(かみしゃ)」に住む男の神様が、凍った湖の上を渡って「下社(しもしゃ)」に住む女の神様に会いに行きました。このとき歩いた跡が凍りついた湖面を南から北に走り、「御神渡り」と呼ばれるようになったのです。
いまでも御神渡りができて、湖に張った氷の上に乗っても安全な状態になると、諏訪市の八劔(やつるぎ)神社では「御渡り拝観式」が行われます。そこでは、方向や長さ、高さなどの御神渡りの出来ぐあいによってその年の吉兆が占われるのです。
お天気豆知識(2026年01月10日(土))


御神渡りはどのようにしてできるのでしょうか。諏訪湖の場合は、最低気温が氷点下10度以下の日が続くと湖面全体に氷が張ります。
氷は温度が下がるほど体積が小さくなる性質があり、例えば10キロの長さの氷の場合、気温が5度低くなると2.5メートルも縮みます。
野外では、朝晩は厳しい冷え込みでも昼間は寒さが和らぐこともあり、この寒暖の差により氷が伸び縮みすることが御神渡りの原因なのです。
夜間、気温が下がると、湖一面に張った氷は縮み、大きな音を出しながら裂け目ができます。気温は氷点下ですから、この裂け目にもすぐに氷が張ります。そして、昼になり気温が上昇すると今度は氷が膨張するため、裂け目に張ったまだ薄い氷の部分が押し上げられて盛り上がるのです。
最低気温が氷点下10度以下の寒い日が続いている間は、割れ目の氷は執と盛り上がり、高いものでは1から2メートルにも達します。こうして冬の厳しい寒さの中で、御神渡りが出来上がるのです。

