秋を代表する植物の一つにススキがあります。十五夜が近づくと山野へ入ってススキを取ってきた経験のある方もいることでしょう。
ススキは尾花(おばな)ともよばれ、秋の七草のひとつです。その名は、「すくすくたつ木」とか、神楽(かぐら)に使われた楽器のための木という意味の「スズの木」から来ているといわれています。
ところで、みなさんはススキと非常によく似た植物があることを知っていますか。イネ科ススキ属にはよく似たものが多いのですが、その中でも非常によく似ているものにオギがあります。
オギもススキと同じ秋の植物で、茎が細いためススキよりも音を立てて風によくそよぎます。この様子は「荻の声」という秋の季語にもなっています。また、神様や霊魂を招くことを「をぐ」というため、「オギ」の声は「神」の声としても解釈されていたようです。
ススキもオギも、この時期は秋風になびいて、野山や河原に秋の景色を演出していることでしょう。
お天気豆知識(2024年09月13日(金))
秋を告げる草であるススキとオギは並べて比較してもなかなか見分けられないほど似ています。もしかすると、皆さんがススキと思っていたものが実はオギだった、ということもあるかもしれません。
このススキとオギを見分けるにはいくつかのポイントがあります。まずは、その生育場所を見てみましょう。ススキは主に野原や丘に生えています。それに対して、オギは河原や湿地など、水辺を好みます。
また、その生え方にも特徴があります。ススキは大きな株を作って、ひとつの株から何本もの茎を出していますが、オギは一本ずつで生えています。
さらに、ふさふさとした穂の大きさにも違いがあり、オギの方がススキよりも大きくて立派で、穂の色にもオギの方が白っぽいという違いがあります。
ちなみに、ススキの葉の縁には、オギには見られない細かいトゲがあって手を切ってしまうことがあるので、ススキの野に入るときには十分に注意してください。
お月見のときはススキを、そして、河原では「荻の声」を聞いて秋を感じてみてはいかがでしょうか。