子供のころ、草むらに出かけてズボンやセーターなどに実のようなものをたくさんくっつけて遊んだ思い出はありませんか。あの動物や人の体にくっついてくる実のようなものは、「ひっつきむし」と呼ばれる草の種です。
野原や草むらでよく見られるひっつきむしには、オナモミやアメリカセンダングサなどいろいろな種類があります。
ひっつきむしは、遠くまで運んでもらうために動物や人にくっつきます。自分で動くことのできない植物は、いろいろな工夫をして種をより遠いところまで運び、できるだけたくさん仲間を増やそうとしているのです。
いったん動物の毛や人にくっついたひっつきむしは、その動物が毛づくろいする場所、または人がズボンから種を払う場所で地面に落とされて、そこに芽を出すことになります。中には輸入される羊毛にくっついて、外国から日本へ渡ってきた種もあります。
草むらに入った私達は、気づかないうちにひっつきむしを遠くへ運ぶお手伝いをしていることになるんですね。
お天気豆知識(2024年09月12日(木))


秋になると、いろいろな種類のひっつきむしを見つけることができるようになります。ひっつきむしは、そのくっつき方から2種類に分かれます。
ひとつは、種の周りに生えているとげを使ってくっつくものです。よく子供が投げ合って遊ぶオナモミは、細かいかぎ状のとげをたくさん持っていて、それで動物の毛や人のズボンにくっついています。
とげを持つひっつきむしには、ほかにも2本の鋭いとげをもつアメリカセンダングサや、種の真ん中にくびれのあるヌスビトハギなどがあります。
もうひとつは、種の表面からべとべとした粘液を出してくっつくひっつきむしです。黄色い小さな花が特徴のメナモミや、縮れたような葉を持つチヂミザサなどがこの仲間です。
とげまたは粘液のどちらにしても、かなりしっかりと動物や衣服にくっつくことができ、そう簡単には落ちることはありません。
この秋、野原や草むらに遊びに行って、いろんな形をしたひっつきむしを探してみるとおもしろいのではないでしょうか。