これから冬に向かって徐々に寒くなってくると、「木枯らし」と呼ばれる風が吹くことがあります。
木枯らしという言葉は、強い風によって木の葉を落とし枯れ木にしてしまう、つまり「木を枯らす」という意味から来ているといわれています。また、木嵐(きあらし)が転じたものという説もあるようです。
木枯らしとは秋から冬にかけて吹く冷たくて強い風のことで、気象的には冬に吹く北よりの季節風という表現になります。
秋になるとシベリア地方の気温が下がりはじめ、そこには高気圧が発達するようになります。低気圧が日本の東側へと通過したあとにこの大陸の冷たい高気圧が張り出してくると、気圧配置がいわゆる西高東低の冬型になり、冷たい北よりの季節風が日本に吹きつけるようになります。このときに吹く冷たく強い風が木枯らしの正体なのです。
木枯らしとともに、北日本から初雪などの冬の便りが届くことも多く、広い範囲で寒い一日となります。一般に初冬に現れる冬型の気圧配置は長続きせず、木枯らしが吹いた翌日は高気圧に覆われて、小春日和の穏やかな天気になりやすいものです。
お天気豆知識(2025年10月24日(金))


皆さんは木枯らし1号という言葉を知っていますか。春の訪れを告げる暖かい南よりの風が「春一番」なら、冬の訪れを告げる北よりの風が「木枯らし1号」です。
木枯らし1号は季節の変わり目に、お知らせとして気象台が発表しているため、2号や3号の発表は特になく、木枯らし1号を発表している気象台も大阪と東京だけです。木枯らし1号と認定されるには、いくつかの条件を満たしていなければなりません。
条件の一つに、時期があります。東京(東京管区気象台発表)と近畿地方(大阪管区気象台発表)ではやや違いはありますが、大まかには晩秋から冬にかけてです。
また、気圧配置と風向、風速も木枯らし1号の条件になっています。気圧配置は日本の西に高気圧、東に低気圧、いわゆる西高東低の冬型で、およそ北よりの風が最大風速8メートル以上で吹く、というものです。そしてこれらすべての条件が初めてそろったとき、木枯らし1号が発表されるのです。
木枯らし1号が吹く日には、海上では風速10メートル以上の強風が吹き荒れて海は大しけとなり、標高の高い山ではみぞれや吹雪となって遭難事故が多く発生します。
木枯らし1号の発表が予想されている日には、登山の計画を中止した方がよいでしょう。

