秋にかけて、台風への注意が必要な時期です。テレビの天気予報番組などで、気象衛星ひまわりの画像に台風を見かけることも多くなることでしょう。
衛星画像などで台風を観察すると、中心に穴があいたようにぽっかりと雲がないことがあります。これを台風の目といい、その大きさは、平均すると直径40キロメートルから50キロメートルになります。そして、そのかたちは一般に丸いものです。
しかし、最近は気象レーダーによって五角形や六角形に見えるものも観測されています。また台風の目は夜中には目をつぶるように徐々に小さくなり、夜明けのころに最も小さくなる傾向がある、といわれています。
台風というと太陽が隠れて昼間でも薄暗く、強い風が吹き荒れる、という恐ろしい天気を思い浮かべますが、台風の目の中では風が弱く、青空が見えることさえあります。そのため注意していないと、台風は完全に通過したものと思い違いをしてしまうおそれがあります。
過去にもその勘違いから気がゆるみ、大きな被害が発生しています。台風情報をしっかり確認して被害を少なくしたいものです。
お天気豆知識(2025年07月27日(日))


台風の構造は、日本にやってくる一般的な高気圧や低気圧の構造と比べて特徴的なものです。そして、その特徴の一つに台風の目があります。
低気圧も、台風と同じように渦をまいて中心に向かう風の流れがありますが、台風はその渦の回転が速いために、中心から遠ざかる方向に働く力(遠心力)が強大なものになっています。そのため、(一般に風速20メートル以上の台風において)風の渦が中心に近づくことができず、雲が無く風の弱い台風の目が発生するのです。
台風の目の周りには、壁のようにそれを取り巻く発達した積乱雲があり、「目の壁(アイウォール)」とよばれています。そして、この目の壁は最も風が強く、上昇気流の非常に強いところでもあります。同時にそれを打ち消すように台風の目では下降気流になっています。
台風は、目の壁が厚くて衛星画像などから目がくっきりと見えるものほど強いといわれます。
このように穏やかな天気の台風の目の周囲には、ひときわ激しい雨や強い風をもたらす目の壁がひかえているため、台風の目に入っても大変危険な状況にあることに変わりはないのです。