夜空にはたくさんの星がありますが、明るさは、その星ごとに違います。一目で見つけられるくらい明るく輝く星もあれば、肉眼では見えない暗い星もあります。こうした星の明るさは等級によって区別されています。1等星とか2等星とかいう表現を聞きますが、これは星の明るさを表しているのです。
現在、私たちが使っている等級は、19世紀になって基準が正確に決められたものです。5等級違うと、明るさがちょうど100倍違うように定義されていて、1等星は6等星のちょうど100倍明るいことになります。
このように、夜空の星は明るさによって等級が決められているのですが、あくまで地球から見たときの星の明るさを表しているに過ぎません。この等級のことを、正式には「見かけの等級」と呼んでいます。
見かけの等級は、星自身の明るさの他に、地球と星の間の距離も関係していて、同じ明るさの星でも、近くにあれば明るく見え、遠くにあれば暗く見えます。明るさは距離の2乗に反比例するので、同じ明るさの星でも距離が2倍違うと、明るさは4分の1になってしまうのです。
そこで、星そのものの明るさを比べるために星を地球から一定の距離に持ってきて、地球から見た明るさの違いを表す方法が考えられています。天文学では、この一定の距離を32.6光年として、この距離だけ離れたときの地球から見た明るさを「絶対等級」と呼んでいます。
お天気豆知識(2025年05月13日(火))


星の明るさには、見かけの等級と絶対等級とがあることからも分かる通り、地球上から見た明るさは、その星の本当の明るさとは限りません。
例えば太陽の場合、地球から見た明るさ、見かけの等級はマイナス27等で、夜空の星々とはけた違いの明るさです。
これは太陽と地球との距離が、他の星に比べて非常に近いためで、地球からみると非常にまぶしく見えます。しかし、絶対等級に直してみると、4.8等星となり、夜空でやっと見える程度の明るさになってしまいます。
逆に夏の大三角を作る、はくちょう座のデネブは、見かけの等級が1.3等です。しかしそれは地球からはるか1500光年も遠くにあるためで、実際は非常に明るく、絶対等級がマイナス7等にもなるじつに太陽より5万倍も明るい星なのです。
このように夜空では点にしか見えない星が、実は太陽よりもはるかに明るかったり、また、太陽のように非常にまぶしく見える星でも、実際は宇宙空間の中では、ありふれた星の中の一つだったりするのです。