春に旬を迎える野菜に「ふき」があります。ふきは数少ない日本原産の野菜のひとつで、全国各地の野山に自生しています。
ふきにはほろ苦い味と独特の香りを持ち、しゃきっとした歯ごたえもあることから、古くから日本人に好まれてきました。
平安時代にはすでに栽培が始まっていたといわれ、現在では「愛知早生(あいちわせ)」という品種が栽培ものの主流となっています。
ちなみに愛知早生には雌株しかなく、受粉して種で繁殖することができないため、株分けによって栽培されています。
店頭に並ぶ栽培品種は、苦みが程よく抑えられているため食べやすく、繊維も少なくて柔らかいという特徴があります。
一方で、春は野山に生えているふきも比較的やわらかくておいしい時期なので、山菜採りに出かけて取ってきたものを味わってみるのもおすすめです。
その際、葉の柄の部分が赤みがかっているふきよりも緑色が濃いもののほうが苦みが弱いので、柄の色をよく見て選ぶとよいでしょう。
スーパーなどで売られているアク抜きをせずに食べられるふきは、下ごしらえの手間が省けて便利ですが、野生のふきのアクを抜いて調理したものは、風味豊かで、春をいっそう感じられるのではないでしょうか。
お天気豆知識(2025年04月14日(月))


ふきをはじめとする山菜をおいしく食べるには、アク抜きをする必要があります。山菜のアクを抜く方法は、含まれているアクが多いか少ないかで違ってきます。
アクが比較的少ない「たらのめ」なら、沸騰したお湯に塩を入れて軽くゆでれば十分です。ややアクの多い「ふき」や「うど」の場合は、ゆでた後に冷水にさらす必要があります。
特にふきは塩をまぶしてまな板の上でこするだけでもアクを抜くことができるので、ゆでる前におこなっておくと効果的です。
さらにアクの多い「わらび」や「ぜんまい」の場合は、灰や重曹を少量加えてゆでます。灰や重曹を入れるとアクがとけ出すだけでなく、繊維が柔らかくなり、色も鮮やかなものになります。
このように、種類ごとに違う山菜のアク抜きの方法を知っておくと、旬の山菜をおいしく味わうことができるのです。