私たち人間は昔から音を出して情報を伝えたり、楽器などを使って音楽を楽しんだりしてきました。現在も私たちは音とはきってもきれない生活をしていますが、意外にも音の本質については知らないものです。
音は空気の震動によって伝わることは多くの方が知っていると思いますが、では、音の高さはどのようにして変化するのでしょうか。フルートやトランペットなどに代表される管楽器を例にとってみてみましょう。
管楽器の一方の口から息を吹きこむと、反対の口から音が出てきます。「息」という空気の流れが「音」になるとき、唇や楽器の「発音体」とよばれる部分が振動します。すると、管楽器の中の「空気柱(くうきちゅう)」とよばれる管の中の空気も振動します。
空気柱の中では、空気が行ったり来たりを繰り返しており、空気の濃い部分と薄い部分を作り出しています。こうした空気の振動は、一般に振動する空気柱が長いほど低い音を出します。
管楽器には様々な種類があり、音の高さを変える仕組みもそれぞれですが、いずれも空気柱の長さを変化させる原理を利用しているのです。
お天気豆知識(2025年03月22日(土))


管楽器は、空気が振動する「空気柱」の長さを変化させて音の高さを変えますが、音の高さは気温によっても変わるのです。
気温が高いと空気が膨張するため、音の伝わりかたは速くなります。例えば、気温が10度の場合は音速は秒速338メートルくらいですが、それが30度になると秒速350メートルくらいにまで速くなります。
そして音には、その伝わりかたが速いほど振動が細かくなる、つまり音が高くなるという性質があります。このために、気温が高いと音がいつもより高くなってしまうのです。
同様に気温が低いときには音は低くなります。ちなみに楽器自体も気温によって膨張や収縮をしますが、空気と比べるとそれはわずかなもので、音の高さへの影響はほとんどないといえます。
音は気温の少しの違いにも影響をうけてしまう繊細なものです。そのために、コンサートホールではいつでも温度が一定になるように空調を工夫しているのです。
素晴らしい演奏のうらでは、空気までも楽器として活躍していたのですね。