木を横に切ると年輪を見ることができますが、そもそも年輪とは何なのでしょう。
年輪は樹木に見られる同心円状の輪です。年輪をよくみると色の薄い部分と濃い部分があります。この模様は季節によって樹木の生長の仕方が違うために生まれます。
色の薄い部分は生長が活発な春に作られます。このとき作られる細胞の壁が薄いため、木の断面の色も薄くなります。
夏になると徐々に生長が遅くなりますが、このとき作られる細胞の壁は厚くなる特徴があり、その結果、断面の色は濃くなります。そして秋になると、木の生長は休止します。
このように、樹木の生長は春と夏の期間であり、この期間にできる色の薄い部分と濃い部分の一組の輪が、樹木の一年の生長を示しています。そのため、年輪の数を数えればその樹木の樹齢がわかるのです。
また、年輪の幅は環境によって狭くなったり広くなったりします。樹木は気温が高いほど、また雨が多いほど活発に生長するため、年輪幅は広くなりやすい特徴があります。
ちなみに、樹木は生長ホルモンによって大きくなるため年輪と方位には関係ありません。木の南側の年輪幅は広い、というのは誤解で山で道に迷っても年輪の幅をみて方位を判別することはできないのです。
お天気豆知識(2025年02月26日(水))


年輪は地域によってどんな違いがあるのでしょうか。
シベリアなど寒帯にある樹木は、暖かく降水の多い温帯の樹木に比べて生長速度が遅いため、一年間に生長する幅は小さくなります。
例えば、樹齢30年の寒帯と温帯の木の年輪をみてみると、その年輪の数はいっしょですが、寒帯の樹木のほうが年輪幅は狭いのです。寒帯で育つ木々は温帯で育つ木々に比べて幹自体が細い印象がありますね。
一方、熱帯の樹木には年輪はありません。年輪は季節によって生長の速度が違うことで作られるため、熱帯雨林のような季節変化がはっきりしない場所の樹木には年輪ができないのです。
熱帯で育つラワンなどの材木の断面を見ると、そこには年輪はなく、表面が一様になっていることからもわかります。
日本には世界中からいろいろな輸入材がはいってきています。これらの木材で作られた製品などをみる機会があれば、年輪に注目してみてはいかがでしょう。