地震による激しい地面の揺れは、家屋を倒壊させたり、地割れを生じさせたりと、様々な被害を及ぼします。その地震がもたらす現象のひとつに「液状化現象」というものがあります。
液状化現象とは、地震による揺れで地面が液体状になるもので、水や砂などが地上に噴き出して、ドロドロの状態になってしまいます。まるで大雨が降ったあとのような状態になるのです。
また、地盤が液体状になってしまうと、その地盤は物を支える力が全くなくなるため、建物が横倒しになるなどの被害が出ます。耐震性の高い建物でも、それを支える地盤が液体状になってしまっては元も子もありません。
昭和39年6月16日に起きた新潟地震では多くのアパートなどのコンクリート建物が、液状化現象によって横倒しになりました。このときは、地震による壁の亀裂はなく、扉や窓も普通に開けられたといいます。そして大雨が降ったわけでもないのに新潟市の2割が浸水したのです。この地震によって、液状化現象は注目されるようになりました。
平成7年1月17日、阪神・淡路大震災の時にもポートアイランドや六甲アイランドでは液状化現象により石油タンクが傾くなどの大きな被害がでました。また、平成23年3月11日の東日本大震災でも各地で大きな被害がでました。
お天気豆知識(2025年01月18日(土))
液状化現象が起きやすい場所は、地下水の水位が高い所で水分を多く含む砂でできた緩い地盤です。具体的には大きな河川のそばや埋め立て地などで、特に日本の都市は、河川が運んできた砂が堆積した平野にある場合が多く、液状化現象が発生しやすいといえます。
このような所で地震が起きると、その揺れによって地盤の中の砂の粒子同士がいったんバラバラになり、まるで水に砂が浮かんだ泥水の状態になります。
泥水は液体ですから、重い物を支えることができません。その結果、重い建物などは下に沈みバランスを失って横倒しになったり、軽いマンホールなどは地盤から浮いてきて盛り上がります。
また地面からは、居場所をなくした水や砂などが噴水のように噴出します。それは、水鉄砲から水が勢いよく飛び出るのと同じ原理です。
液状化現象は、建物の倒壊や地下に埋めてあるライフラインの破損など、都市生活を送る上で、甚大な被害を発生させます。液状化現象を防ぐために、地盤の改良や液状化に備えた対策工法などが多く研究されていますが、まだまだこれからです。
私たちも、いざというときにそのような現象が起こることを知っておかなくてはなりません。