本格的な冬をむかえ、雪国では除雪作業に精を出されている方も多いことでしょう。特に北陸地方などの除雪作業は、雪が湿っていて重たいため一苦労です。
湿った重たい雪は、除雪作業をつらくするだけでなく、物にくっついて「着雪害(ちゃくせつがい)」とよばれる被害を引き起こすこともあるのです。その代表的なものに電線着雪があります。
これは電線を芯にして雪がぐるりと覆ってしまうもので、雪がたくさん付着すると、雪の重みで電線が切れたり、鉄塔が倒れたりするほか、重くのしかかった雪が電線から落ちたときに電線が跳ね上がり、他の電線と絡むなどといったこともあります。
普通、雪は上から降ってくるのに、電線の下側にまで雪がぐるりと付着してしまうというのはなんとも不思議です。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。
雪が降るとまず電線の上に雪が積もります。そして十分な重さの雪がバランスを崩したとき、がっしりと付着した雪は電線をねじって下側に回り込むのです。
また電線がビニールに覆われている場合には、湿った雪が滑るようにして下側へ回転します。
電線の上に雪が降り積もっては回転して下に回り込む、という過程が繰り返されることによって、電線の上下左右に雪が付着した「雪の筒」ができあがるのです。
お天気豆知識(2024年12月21日(土))
雪国では、電線着雪による被害を食い止めようといくつかの対策がとられています。その一つに、電線にリングをはめるというものがあります。これは、細い線を束ねてよって作られた「より線」に用いられるものです。
より線は、細い線がらせん状に巻かれているため、付着した雪はそれに沿ってらせんを描いて下に滑っていきます。そこで、リングをつけてらせんを描こうとする雪をせき止めることで下に落とすことができるのです。
また、電線を水平方向にひれのついたカバーで覆うという方法もあります。これは、上側に積もった雪が下側に回り込むことを防ぐものです。
ほかにも電線自体がねじれることを防ぐためにおもりを固定するというものや、固定スぺーサーといって電線同士を一定の距離に固定し、絡まりを防ぐものもあります。
道路のように簡単に除雪のできない電線は、自然に雪が落下する仕組みがほどこされているのです。