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お天気豆知識(2024年11月22日(金))

忍者雲・1
忍者雲・1

山ではそろそろ本格的な冬に入り、天気図上では、西高東低の冬型の気圧配置になることも多くなりました。
冬型の気圧配置になると、日本海側ではどんよりとした雲に覆われ雪や雨が降り、一方、太平洋側は晴れて空気が乾燥して北西の冷たい風が吹きます。
ただ、冬型の気圧配置のときでも、関東南部だけ雲が広がって弱い雨が降ることがあります。これは忍者雲(にんじゃぐも)のしわざです。
忍者雲という雲は、忍者の形をした雲ではなく、その振る舞いが忍者を思わせる雲のことです。正式な雲の分類では層積雲と呼ばれ、浮かんでいる高さはおよそ2000メートル前後です。
秋から春にかけて現れる雨雲で、日中は関東地方の南海上に居座っていますが、夜間、こっそりと忍び込むように沿岸の陸地に広がってきます。
千葉県に現れると予想されていても、実際は神奈川県に現れると言った具合に、予測が難しい雲です。この神出鬼没な様子が忍者を連想させるため、忍者雲と呼ばれているのです。

忍者雲・2
忍者雲・2

昔はそのメカニズムに謎の多かった忍者雲も、この雲の広がりが数百キロメートルという規模を持っていることから、気象衛星によく写り、そのからくりも徐々に解き明かされてきました。
忍者雲は、例年9月から4月にかけて、西高東低の冬型の気圧配置のときに出現します。
この時期、北西の季節風が、東北南部から右回りに北東風となって回り込むと、東海沖の北西風と伊豆諸島付近で衝突します。このとき、北東風は行き場を失って上昇気流となり、忍者雲を発生させるのです。
北西の季節風が風向を変えることなく、そのまま関東北部の山を越えて南部に流れ込むときは、忍者雲は発生しません。山脈の上に、気温の逆転層がかかっているときに発生するのです。
逆転層は上へいくほど気温の高くなる空気の層のことで、下からの空気の上昇を妨げます。そのため、山脈に逆転層がかかると、季節風は山をのぼって越えることができなくなり、北の一部は東北周りの北東風となり、南の一部は北西風となって山を回り込んだ2つの気流が伊豆諸島付近で衝突するのです。
これまで長い間予報官を悩ませてきた忍者雲も、このように少しずつからくりが見えてきて、信頼度の高い予報も可能になってきました。
みなさんも気象衛星の写真を見たら、関東南部にかかる忍者雲を見破ってみてはいかがでしょうか。

過去のお天気豆知識

芒種2025年06月04日(水)
傘の部分の名称2025年06月03日(火)
梅雨2025年06月02日(月)
火砕流2025年06月01日(日)
水無月(みなづき)2025年05月31日(土)
いろいろな電波2025年05月30日(金)

各地の天気

お天気豆知識

芒種

芒種

6月5日は二十四節気のひとつ「芒種(ぼうしゅ)」です。芒種の「芒」とは、穀物の先端の細い毛のことで、「のぎ」と読みます。このころ、芒のある稲や麦などの穀物の種をまくことから芒種といわれています。また、この時期は梅雨を代表する花であるアジサイが咲き始めます。現在では白やピンク、赤などさまざまな色のアジサイがあり、その品種は500種類におよびます。アジサイの色は土壌の性質によって左右されます。土壌が酸性の場合は青色系が、アルカリ性だと紅色系が発色しやすくなります。日本はアジサイの原産地であり、土壌は酸性であったため、古来のアジサイは青色でした。この青いアジサイが18世紀終わりごろにヨーロッパに渡り、ヨーロッパのアルカリ性の土壌で赤っぽい色のアジサイが生まれました。その後、さらなる品種改良の結果、色とりどりのアジサイが生み出されたのです。色鮮やかで華やかなアジサイが雨の日に彩りをそえてくれるでしょう。

傘の部分の名称

傘の部分の名称

6月といえば雨の月です。雨の季節に活躍するものといえば、傘でしょう。傘の歴史をひもとくと、ヨーロッパでは「日傘」から始まった一方、降水量の多い日本では、箕(みの)や菅笠(すげがさ)に変わる「雨傘」として江戸時代から普及し始めました。今では年間1億本以上もの傘が消費されていて、私たち日本人にとって傘はとても身近な存在ですが、傘のそれぞれの部分の名称については意外と知らないものです。例えば、傘をさした時に上につきだした部分は「石突き(いしづき)」といいます。これは傘を閉じた状態の時に地面の石を突くことからそう呼ばれます。石突きを取り囲む布地の部分は、菊の花の形をしているため「菊座(きくざ)」といいます。また、傘の骨の先にある部分は「露先(つゆさき)」といい、これは傘をさした時に雨粒が露となってこの先端部分から落ちることからついた名称です。閉じた傘を広げるときに押す部分は「下(した)はじき」です。下はじきの由来は、指で押したときにはじくように戻ることからこう呼ばれるようになりました。なにげなく使っている傘にもこのような名前がそれぞれにつけられているのです。

梅雨

梅雨

四季のある日本列島には、春から夏の変わり目に梅雨(つゆ)の時期が存在します。梅雨の時期はじめじめして日差しが少ないため、外出するにも洗濯するにも、うんざりしてしまいます。しかし梅雨を私たちの生活からみてみると、決して厄介ものとはいえないのです。梅雨の良い点は、貴重な水資源になるということです。この時期に雨が降らなければ、梅雨が明けたあとで水不足にもなりかねません。深刻なのは雪解け水のない地域で、ダムの貯水量が低くなり、夏まっさかりのころには取水制限や給水制限をしなくてはならない事態になることです。梅雨の時期にはしっかりと雨が降ってくれたほうがいいのです。良い面がある一方で、悪い面も存在します。それは大雨による災害を引き起こすことです。梅雨も終わりに近づくと、西日本を中心に大雨となることがあり、それに伴って、河川の増水や浸水の被害、また土砂災害などが起きやすくなります。毎年のように被害がでており、人命を奪うことさえあるのです。梅雨の雨は恵みの雨であると同時に、恐ろしい雨でもあるのです。