やぎ座
9月は夏の派手な星座から秋の地味な星座へと移り変わる時期です。そんな9月の夜空に、星占いにも登場する「やぎ座」があります。3等星よりも明るい星がないものの、この星座が南の空に描く逆三角形は、暗い9月の星座の中では比較的見つけやすい星の並びです。このうち右上の星は、α(アルフニ星と呼ばれるものです。一見、一つの星に見えますが、実際は離れた場所にある二つの星が見かけ上並んで見える「肉眼二重星」です。視力に自信のある方は、二つに見えるかどうか暗い夜空で挑戦してみてはいかがでしょうか。ところで、やぎ座の星座絵を見ると、おかしなことに気付きます。頭はやぎに間違いないですが、下半身には足がなく、魚の尾びれがついています。これには次のような理由があります。ある日、ナイル川のほとりで神々がパーティーを開いていると、怪物テュフォンがその会場を襲ってきました。とっさに神々はそれぞれの動物に化けて逃げましたが、そこにいた神のひとり、パーンはやぎに化けて逃げ出しました。逃げ出した先にはナイル川があり、魚に化け直して川に飛び込んだつもりが、慌てていたために下半身しか変わらず、こんな姿になってしまったのです。そして、それを見ていた他の神様たちが、面白いから星座にしてしまえ、と言って夜空に上げたというわけです。