9月に入って、まだまだ残暑が厳しい日もありますが、辺りの虫や草木、空気などからは秋を感じることができます。また、「天高く馬肥ゆ(てんたかくうまこゆ)」と言うように、高く澄みわたっている空も秋を感じさせます。
秋の空が高く感じられるのは、秋の雲の現れる位置が高いことがひとつの理由です。入道雲やわた雲といった夏に多く現れる雲は、強い日差しによって地面付近の空気が暖められて発生する雲です。このような雲は、上下の空気の流れで発生するため、地上から数百メートルくらいの高さでも出現します。
一方、秋になると、いわし雲やひつじ雲といった高い所に現れる雲が多くなります。いわし雲はおよそ5000メートルから1万メートル、ひつじ雲でも2000メートルから7000メートルといった高度に出現します。
夏と秋の雲の出現する高さの違いは、湿度の違いによるものです。湿度の高い夏は低い所でも雲ができますが、湿度が低くなる秋は、低い所では雲を作るほどの水蒸気がないため、雲は高いところにできることになります。
湿度の低い秋の空気は空を高くして、秋をいっそう爽やかに感じさせてくれているのですね。
お天気豆知識(2025年09月17日(水))


秋になると、空高くにいわし雲やひつじ雲などが多く現れますが、その理由は湿度が低いことのほかにも、「ジェット気流」という地球をめぐる大規模な風の流れが関係しています。
日本列島の上空には、偏西風と呼ばれる西風が常に吹いていますが、上空12キロメートル付近には風速が毎秒100メートルを超えることもあるほどの特に風が強くなっている部分があります。これが、ジェット気流です。
ジェット気流は、その南側にいわし雲などの上層の雲やひつじ雲などの中層の雲を伴いやすいという性質があります。
ジェット気流は季節によって南北に移動していて、夏は比較的弱いものが北緯45度付近にあり、冬になると強化されたものが北緯30度付近まで南下します。
秋は、ちょうどジェット気流が日本の上空にあることが多いため、いわし雲やひつじ雲などがひんぱんに見られるようになるのです。