秋の季語・霧
秋の季語の中に「霧」があります。「霧」というと、季節に関わらず年中発生するイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。10月に入って秋が深まってくると、冷え込みも強くなり、内陸の盆地では「霧」が多く発生するようになります。「霧」は無数の小さな水滴が空気中に煙のように立ちこめる現象です。雲と似ていますが、雲は上空で水蒸気が凝結してできるのに対し、「霧」は地面に接した空気の中で水蒸気が凝結して発生するという違いがあります。そして人の目の高さで見通し距離が1キロメートル以上ある場合を「靄(もや)」、1キロメートル未満を「霧」と言い区別しています。同じような現象で、風景がぼやけている様子や、山に薄い雲がかかっているような状態を「霞(かすみ)」がかかるといいますが、「霞(かすみ)」は気象用語としては定義されていません。しかし俳句など文学の世界では、「春霞(はるがすみ)」というように「霞(かすみ)」は春の季語として使われていて、季節によって言葉を使い分けて表現しているのです。