春は、暖かい日と寒い日を繰り返しながら、少しずつ進んでいきます。晩秋から初冬の穏やかな陽気を小春日和(こはるびより)というように、春は風が弱くて暖かいというイメージが強いものですが、ときにはその暖かい風が嵐のように吹き荒れることもあるのです。
冬の北風と別れを告げるかのように春に初めて吹く強い南風を「春一番(はるいちばん)」といいます。この春一番は現在気象台によって発表されており、その定義は地方によって異なるものの、大まかには「立春から春分までの期間に日本海を低気圧が発達しながら通過して、初めて強い南風が吹き、気温が高くなる」現象のことをいいます。
この強い風は、火の粉を数百メートル以上遠くまで飛ばす力があるうえ、日本海側の地方には山を越える乾燥した風となって吹きつけるため、小さな火でも大火災にまで発展させてしまうおそれがあります。
また、この風によって気温は上がり、その陽気は多くの方を屋外レジャーへと誘います。しかし、気温の上昇は雪崩を誘発することもあり、冬山登山やスキーを楽しむ方が巻き込まれてしまう危険があります。
さらに、この時期は関東や関西で船釣りが盛んになるころですが、海がしけて船が転覆したり、突風によって釣り人が海中へ転落するといった事故も起こりやすくなります。
春一番という言葉のイメージとその陽気にだまされることなく、十分に気を引き締めなければならないのです。
お天気豆知識(2026年02月19日(木))


日本列島を通過する低気圧には日本海を通るものと日本の南岸を通るものがあります。特に春の低気圧は発達をしながら進むことが多く、日本海を発達した低気圧が通るときは、北に位置する低気圧に向かって風が吹き込みます。暖かい南風が全国的に強く吹きやすくなり、春一番が吹くときもこのような場合です。
ちなみに低気圧が日本海を通過した翌日は、西高東低の冬型の気圧配置となって寒さがぶり返すことも多いので、寒暖の差にも気をつけなければなりません。
一方、日本の南岸を低気圧が通過するときは、全国的に強い雨や雪が降りやすく、北からの冷たい空気が流れ込むため、太平洋側の地方でも雨ではなく雪になることもあるので注意が必要になります。
雨や雪はこの低気圧が日本の南岸に近い場所を通過するほど多くなりやすく、特に三陸沖や日本の東の海上で急速に発達すると、北日本に暴風雨や暴風雪をもたらすこともあります。
春は穏やかな陽気となる日がある一方、強風や大雨、大雪による荒れた天気となることもあるため、低気圧のコースには注意を払っておきたいものですね。

