日に日に寒さが増すこの時期、季節外れの花が咲いているのを見たことはありませんか。
秋から冬に季節外れの花が咲くことを「返り咲き」と言います。
このような現象は「不時現象(ふじげんしょう)」とも呼ばれており、気象台で発表されている平年日と著しくかけ離れた時期に起きる場合を言います。
不時現象か通常の現象かの判断は、気象台などにおけるそれぞれの観測種目の最も早かった記録、または最も遅かった記録から、約1か月以上の開きがある場合を目安としています。
穏やかに晴れた日にふらりと散歩に出てみれば、小春日和につられて勘違いしてしまった花たちに出会えるかもしれません。
お天気豆知識(2025年11月12日(水))


秋から冬になると、日照時間が短くなるとともに気温も右肩下がりに低くなっていきます。しかし、毎日の気温はそのときの天気によって変動します。
特に今の時期は、高気圧に覆われてぽかぽかと晴れる日もあれば、西高東低の冬型の気圧配置になると、とたんに寒くなることもあります。天気が周期的に変わるため、日によって気温が大きく変動しやすいのです。
そんな時期、春に咲くはずの「桜」が花を咲かせることがあります。桜の花の芽は夏にでき、その後休眠します。気温が低くなることによって、花の芽はまず「冬」を感じます。
しかし冷え込んだ後、急に暖かくなる日があると、温度に敏感な性質があるために、その陽気に刺激されて「春」がやってきたと勘違いし花を咲かせるのです。
春ほどの満開になることはあまりないですが、澄んだ青空の下、遠慮がちに淡いピンクの花を咲かせる桜は、周囲を季節はずれの花見気分にさせるでしょう。

