なんじゃもんじゃ
公園や野山にはさまざまな種類の樹木を見ることができますが、それらすべての名前を言い当てることは難しいものです。そのため、正式な名前がわからない正体不明の立派な木は、「何じょう物じゃ(なんというものか)」という意味から「なんじゃもんじゃ」という俗称が付けられることもあります。この名前の由来にはいくつもの説がありますが、その一つには、水戸黄門こと徳川光圀(とくがわみつくに)が将軍から「あの木は何という名前の木か」と尋ねられ、返事に困ってとっさに「なんじゃもんじゃ」と答えたことが始まりだという説があります。「なんじゃもんじゃ」と名付けられた木の中でも有名なのはヒトツバタゴと呼ばれる木です。自生地は長野県、岐阜県、愛知県、長崎県のごく一部に限られていて、その珍しさから本当の名前がわからず、「なんじゃもんじゃ」と呼ばれるようになったのです。有名どころには、東京の明治神宮外苑や岐阜県中津川市(なかつがわし)などがあります。このヒトツバタゴは例年5月に真っ白い花を咲かせ、木全体がすっぽりと雪をかぶったような美しい姿に変わります。最近では、人の手によって街路や公園などに植えられている所もあります。もし今の時期に白い雪のような花を咲かせる木があれば、それはヒトツバタゴかもしれませんね。